11 誰も責任なんて負いたくないんだね
一同は会議室に集まり、大きなスクリーンに映された画像を見ていた。
「一応前やったことのおさらいもしておくか。ヒーロースーツの歴史。空あたりは忘れてそうだからな」
「……うす。正直もうほとんど覚えてないっす」
「だと思った。で、ヒーロースーツの歴史。元は将来訪れるであろう異常気象や災害に備え、過酷な環境下でも人間が活動できるようにすることを目的として、プロミネンスエンタープライズによって開発されたのがヒーロースーツの原型だ」
龍太郎はパソコンを操作し、次のスライドを表示する。
「一方の怪人スーツ、通称ヴィランスーツ。これはさっきのと同じ目的で作られた、ヴィオ・ランペイジ社製のものが元になってる。ヒーロースーツが薄く、ぴっちりした作りなのに対して、こっちは着ぐるみ型。背中にジッパーがあるのが特徴だ。ヴィオ・ランペイジ社の倒産とともに、何者かがスーツの技術を流出させたと言われている。今日では、すっかり悪用されてるな」
龍太郎はいくつかのスライドを飛ばし、別のファイルを開いた。
「おさらいはここまで。今日の本題は、プロミネンスエンタープライズとアストラルプロダクションの関係だ」
龍太郎の操作で新たなスライドが表示される。
「親会社と子会社って関係は言うまでもないとして……怪人の出現も、それに対抗するヒーローも、その多くは都市部に集中している。怪人は都市機能の破壊なんかを狙ってくる場合がほとんどだからな。だが、近年は地方での出現も増加傾向にある」
志麻子がうんうんと頷く。
「そこでプロミネンスエンタープライズは、地方で活躍するヒーローの輩出を目的として、子会社アストラルプロダクションを設立した」
「ここまではいいんだけどね、ここまでは」
佳奈巳が頬杖をつく。
「そう、ここからが問題。そもそもヒーローの地方展開自体、うちの社長がプロミネンスにいた頃に訴えたものだ。で、プロミネンス的には地方展開なんて、利益にならないって考えだった。実際、都会でかっこいいヒーロー出してる方が怪人も倒せるし注目もされて、儲かるからな」
「へー。じゃあプロミネンスのお偉いさん的には、アストラルなんてあんなもん、って感じなんだ」
龍太郎はそう言った志麻子を見てにやりとした。
「その通り。だからこういう嫌がらせが平気でできる。どうせ上手くいくわけない、ってな」
「あの……私思うんですけど、これ、上層部の方々はどうしてアストラルを設立したんですか?その考えなら、始めから設立なんてしなきゃいいんじゃ……」
美羽の言葉に、一同首を縦に振る。
「あれだよ、何かあったら全部こっちのせいにしてやろうって魂胆なんだよ。自分のせいじゃない、あいつらが勝手にやったんだ、言わんこっちゃない、ってな」
龍太郎はため息をひとつつき、続けた。
「だから、このチームにはアストラルがこの先どうなっていくかがかかてるといっても過言じゃない。上手くやれれば、あいつらのハナを明かしてやることだってできるかもな」




