万界軍
司令官と王を安西早百合が兼任する。
軍隊として存在するが、母国はない。
共用語が「発音は米国英語」「文語は英国英語」というなかなか面倒なことになっている上に、あちこちの語を突っ込んで、現在に至る。
そのくせ、要塞『鯨』の名は、すべて『日本語』
これは麾下が「アメリカ英語」しかわからず、早百合が短大で専攻したのは「英国文学」だったせい。しかも日本人らしいことに、早百合は発音がダメダメだったので、そのおかしいことに気が付かないまま、きてしまったのだった。
現在、結局、喋る相手が麾下だったので、早百合の発音はすっかり米国式である。
為替レートは『世界』対『世界』ではなく、いったん万界軍に通される。
そのとき、給料として便宜上使っていた点数が、まんま共通通貨化してしまったので、ポイントのままであった。今更名前を変えても、大変なので、このまま使用され続ける。物質(硬貨や紙幣)としての通貨ではなく、データーマネーである。
軍票(軍が発行する。紙幣もどき。約束手形)より不確かで、なにかの拍子に破綻する懸念があったが、トークン族の銀行頭取連が介入し、健全な通貨としての体裁を保っている。というより、現状、一番安心な通貨になっている。
早百合が万界構想の中心に置いたコンビニに、レアメタル・金などを中心に、データーマネーに用いている金額の約5/13相当を常に持っているので、酷い暴落は起きない、起こさない。またコンビニの商品全部かき集めると、おおむね9/13に相当する資金を常に所有していた。
『異世界通行用門』
ただのゲートだと混乱を招く、というだけの理由で『ベスト』をつけくわえられている。
鯱『フール』に、全世界に通じるよう、すべてのゲートが配置されている。
『コンビニ』
早百合が各世界に常時つながる『便利なお店』を置こうとして、結局巨大ショッピングモールになった上、三百六十五日・二十四時間営業はできなくなったモンスターショップのことである。商品を維持するために店時間で六日、最低倍速の世界に沈められ、一日だけ開店する。
早百合にしてみたら、三年に一度のバザールである。
ここにはなんでもある。
すべての世界の商品が武器が、陳列している。
物流を担ったここが、万界軍の財の要ともなった。
現在、この『コンビニ』は鯱型要塞『女教皇』に搭載されている。
『キリング』
現地語で「シリンクツ(自動人形)」といっていたのを、聞き間違って現在に至る。
戦闘用アンドロイド。
現地で汎用として用いられていたのは、足はなく一輪車に乗り、胸に巨大大砲を設置し、バランスをとる腕にソードとエネミー銃、頭には単眼がついていてそこからレーザーが発射するという、まさに兵器。
早百合が興味をもって、何体かばらしては組み立て、というのを繰り返した後、使い物にならない魔改造キリングが出来上がる。
その後、自作で24体も作り、それらは完全に人っぽく、戦闘用ではなく『歌劇団』で、シェークスピアを演じさせるためだけに存在している。
早百合曰く「金持ちのだいご味でしょう、自分だけの劇団とかって。でも、生きている人間を、いつ見たくなるかわからないのに、拘束するのも、気がひけます」




