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第二話:傷を負って帰ってきた手紙

#泣ける物語 #母をたずねて #10歳の孤独 #最後は温かい涙を #エドの物語

僕のような子供にとって、希望とは残酷なものだ。それは夏祭りの打ち上げ花火に似ている。一瞬だけ美しく輝き、その後には、前よりもずっと暗い空だけを残していく。


すべては、僕が高橋さんの手伝いで、埃をかぶった施設の資料室を片付けていた時から始まった。色褪せたフォルダーの山の間から、一通の小さな茶封筒が落ちた。中には、少し文字が滲んだ手書きの紙切れが入っていた。


『東京都世田谷区……ひまわり荘、203号室』


心臓が激しく脈打った。まるで胸の中で新幹線のエンジンが暴走しているみたいだった。ここがお母さんの家なの? あの石鹸の香りが本当に存在する場所なの? 僕は誰にも聞かなかった。この施設で過去について尋ねることは、見たくもない悲しげな視線を向けられて終わることが多いから。


一ヶ月の間、僕はなけなしのお小遣いを切り詰めた。売店でメロンパンを買うのも、新しい鉛筆を買うのも我慢した。汗ばんだ手のひらで、一円、十円と硬貨をかき集めた。


そして、手紙を書いた。これまでの人生で一番、素直な気持ちを込めて。


『お母さん、エドです。この住所を見つけました。まだそこにいますか? もし忙しかったら、迎えに来てくれなくても大丈夫です。ただ、お返事だけください。僕に帰る場所があるんだって、知りたいだけなんです』


僕は通りの端にある小さな郵便局へ行った。震える手で封筒を差し出し、切手代を払った。局員さんは僕に微笑みかけた。彼が今、僕の命そのものを手にしていることなんて、知る由もなく。


十日が過ぎた。


赤いバイクに乗った郵便屋さんが施設に来るたび、僕は門の前のポストへと駆け出した。恐怖と恋しさの間で、体は小刻みに震えていた。そして、霧雨の降るあの日の午後、高橋さんが僕を部屋へ呼んだ。


重厚な木製の机の上に、十日前に出したはずの僕の白い封筒が置いてあった。


けれど、それはもう綺麗ではなかった。角は折れ曲がり、表面には血の跡のような、大きな赤いインクのスタンプが押されていた。


【あて所不明 / 差出人へ返送】

(ADRESSEE UNKNOWN / RETURN TO SENDER)


「エド……」高橋さんは、とても低い声で言った。「その住所は……十年前のものなんだ。あの木造アパートは、もうずっと前に取り壊されている」


僕は、彼の言葉がそれ以上耳に入らなかった。世界から音が消えたみたいだった。僕は手紙を手に取った。赤いスタンプが、僕の名前とお母さんの名前を無慈悲に踏みつけていた。


みぞおちを正拳で突き上げられたような衝撃だった。この手紙は何百キロも旅をして東京へ行き、見つけられたくないと思っているかもしれない誰かを探した。そして今、僕の元へ帰ってきた。「僕の想像の中の家」が、僕のことなんてこれっぽっちも気に留めない大都会の瓦礫に過ぎないという、苦い現実を連れて。


僕は泣かずにその部屋を出た。裏庭へ歩き、降り始めた雨が学校の制服を濡らすのをそのままにした。


宛先を失った手紙を見つめる。ボールペンのインクが雨に打たれて滲み、あんなに一生懸命書いた「お母さん」という文字が、無残な黒いシミへと変わっていく。


(やっぱり、本当だったんだ……)

胸が締め付けられ、息をすることさえ苦しかった。


この手紙には、着陸する場所がない。糸の切れた凧みたいに、ほんの少し空を彷徨って、あとは泥の中に落ちて忘れ去られるだけ。


その日の夜、僕は初めて、トイレで石鹸の匂いを嗅ぐのをやめた。どんなに遠くまで探しに行っても、あの香りはもう、この世界のどこにも見つけられないのだと悟ったから。

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