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九十七告目 後藤柚姫 10
家で居場所のなかった西木千輝は学校や友達との付き合いにそれを求めた。特にチームスポーツの場でみんなに頼りにされることに喜びを感じるようになった。
バスケを通じて滝村涼香と知り合い、プライベートも華やかな高校生活を送るようになった。滝村涼香と一緒にいることで自分のステータスまでもが上がったように感じた。兄と比べて嫌みを言ってくる父親の小言も減り、母親も笑っていることが多くなった。彼女にとって至福の時だった。
しかしそれが崩れ去り人に遠ざけられるようになって、西木千輝はたとえようのない寂寥を味わっていた。家での雰囲気は重苦しいものとなり、それは兄が大学に通うため家を出てから更にひどくなった。厳しいだけで寄り添ってくれない父親と言葉の少ない母親の不安そうな視線がますます彼女を追い詰める。
(自分にはもう何もない。このままうつろな日々をただ過ごしていくだけなら……)
孤独と絶望の中で西木千輝はそんなことまで考えた。




