93/260
九十三告目 後藤柚姫 6
小学校や地域活動で「お世話係」などと称して暗に出来の悪い子の面倒を先生やその親から押しつけられる子がいる。後藤柚姫もそうしたタイプだった。大人たちが誰もその役割を放棄して子供に丸投げしているのだから理不尽な話には違いない。しかし一方でお世話される方もフォローを受けて「○○だからしょうがない」と許されて集団の中に置いてもらえるという現実もある。
しかしそれがクラスのガス抜きのためにいじめられる存在が必要だということの免罪符にはならない。まして西木千輝がそうした役を演じなければならないという理由はない。
「……そう。じゃあ断るわ。そういう格好悪いことはしたくないの」
そう言って後藤柚姫は腕組みして握手を拒否する。
「あんた本気なの? わざわざ夏凛が誘ってくれてるのに!」
「ひゅ~ひゅ~。後藤っちカッコイイねー。でもこれやり過ぎってやつじゃない?」
折原美等と萩野海渚が近づいて三人で後藤柚姫を取り囲む。とりあえず叫んで助けを呼ぼうか、そう思った矢先に大声を上げてこっちに近づいてくる人物がいる。
「柚姫に何やってんのよ、あんたたち!」
外で待っているはずの西木千輝だった。




