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九十告目 後藤柚姫 3
後藤柚姫の抵抗に折原美等がさらに手に力をこめる。
「逃がさないって。いい加減諦めたら?」
「離しなさいよ。人を呼ぶわよ」
「呼んでも後藤っちが恥かくだけじゃない? さっき豊っち見たけど、先生がどうするかなんて言わなくても分かんでしょ? いつものほら、生徒の自主性ってやつ」
萩野海渚が言うとおり、担任の豊浜桃絵は事なかれ主義で生徒に深く関わろうとしない。彼女らが「ただのスキンシップだ」と言えば仲がいい証拠などと都合よく思い込むに違いない。
「……分かったわよ。自分で脱ぐから。何も無いことが分かれば満足するんでしょう?」
その言葉に折原美等の拘束が緩む。一瞬の隙をついて後藤柚姫は身体を反転させ合気道の技で彼女を床に転がした。そのまま扉に向かって走り、萩野海渚を押しのけて廊下に出る。
しかしそこで後藤柚姫の足が止まった。
「暮林……夏凛」
廊下に立つ彼女は私服ではなくネクタイをきちっと締めた制服姿だった。




