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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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八十告目  上屋瑠守 5

琉生を瑠守に変更。

 それから沢村望実は人のいないところで上屋瑠守を「ルイくん」と呼ぶようになり、そばにいるとき身体に触れてくるようになった。受験対策の英語の補習にも参加させられ時には親身すぎる指導を受けることになる。それがエスカレートして起こったのが沢村望実のマンションの一件だった。

 それでもなんとか彼女らと距離を置こうと、上屋瑠守は「野球をおろそかにしたくない」と口実をつけて部活に没頭した。そう言えば沢村望実も無理には止めなかったし佐島鷹翔や後輩たちと部活で汗を流しているときだけが彼にとっての癒やしの時間だった。

 

 しかし夏休みに入ると佐島鷹翔が学校に顔を見せなくなった。最初は大学生に混じって練習しているのかとも思ったが、そこへ来てさっきの推薦の話である。よく考えてみればありえない話だ。そして沢村望実が呼んだのもその話だった。

「よかったじゃないルイくん! お祝いしなくちゃね」

 そう言いながら沢村望実が上屋瑠守の手を握ってくる。

「あ、ありがとうございます。まだ気が早いですよ。でも何で急にオレが? 佐島に来た話だったんじゃ……」

「彼は推薦が通らなかったの。でも推薦の枠自体は生きていたからあなたに白羽の矢が立ったのよ。もちろん私も推しておいたわ。勉強も頑張っているって」 

「佐島が駄目だった? どういう事ですか?」

「向こうは濁していたけど生活態度に問題があったって事みたい。異性間のトラブルだとかいじめをしていたとか何とか……」

 上屋瑠守の記憶でも確かに佐島鷹翔はもてていた。しかし滝村涼香や西木千輝と仲良くなってからはそれも落ち着いていた。いじめなんてことは尚更考えられなかった。幼なじみだったという鎌田久留美がいなくなってからの佐島鷹翔は鬼気迫るものがあった。絶対プロになると口に出すほどに。

 それに異性間のトラブルといえば今の状況のほうがよっぽどまずいだろうと上屋瑠守は思った。

「理由はどうであれ、これでルイくんは夢にまた一歩近づいたんだから。私もやったことが無駄にならなくてよかったわ。うん!」

 上屋瑠守の中でふと沢村望実の言葉が引っかかる。それに佐島鷹翔のこともやはり気になった。

「望実先生、佐島は今どうしてるんですか? 何だか部活にも来なくなってしまって……」

「ああ、彼は学校を辞めてしまったの。野球もケガをして続けられなくなったって」

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