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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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七十九告目  上屋瑠守 4

琉生を瑠守に変更。

 最初はただ子供をからかってみたいだけなんだろうと上屋瑠守もそう思っていた。「黙っているかわりに私たちの日帰り旅行に付き合ってほしい」そう言って沢村望実と牧田梨々子は休日に上屋瑠守をドライブに誘った。観光地めぐりをして予約してある高級レストランで昼食となった。


「上屋くんは将来の夢はあるの?」

「できればずっと野球をしていたいですよ。無理でしょうけどね」

 沢村望実に訊かれて上屋瑠守はそう答えた。車の中で何とは無しに野球しかなかった子供のころのことを語っていた。牧田梨々子は席を外してテーブルには2人きりだった。

「そんなことないわ。大学でもっと実力をつければプロだって、そうじゃなくても実業団って手もあるわよ」

「大学なんて。オレ、勉強なんかまともにしたことないですよ」

「まだ遅くないわよ、応援してあげるわ。

 ……でも夢があるってうらやましいな。私なんて30までに結婚相手をみつけないと先生辞めて田舎に帰らなきゃいけないから」

「そうなんですか? でも望実先生なら大丈夫ですよ。クラスでも人気あるし」

 沢村望実は授業でもあまり怒るようなことはなく、教え方も丁寧でみんなに好かれていた。実際に美人でたまに見せる笑顔に惹かれるファンも一定数いた。黒縁の眼鏡が野暮ったい印象もあったが何故か今日はコンタクトで、じっとみつめられる度に上屋瑠守は思わず視線をそらした。

「本当に? じゃあ上屋くんはどう思ってるの?」

「どうって言われても……うまく言えないです」

「じゃあ、嫌い?」

「そ、そんなことは! ……美人だし、オレがここにこうしているのが不思議なくらいで」

「じゃあ、好き?」

「……はい」

「本当? うれしい!」

 そう言って沢村望実は頬を染めて上屋瑠守の手を握ってきた。


 後日、牧田梨々子から「言質は取ったわよ。証拠もあるし」と言われICレコーダーと写真を見せられた。そこには手を重ねあう2人のお忍びデートの絵が出来上がっていた。

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