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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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七十六告目  上屋瑠守 1

琉生を瑠守に変更。

 夏休み、部活に向かう上屋瑠守かみやるいすを野球部の顧問が呼び止めた。

 そして1時間後、上屋瑠守は今にも叫び出したい気持ちを抑えて校長室を出た。大学のスポーツ推薦枠の打診があったのだ。佐島鷹翔の代わりというのが少し気になったがそんなことはもうどうでもいい。推薦が通れば受験勉強からも解放されて野球三昧の日々が待っているのだから。


 上屋瑠守の子供時代も野球漬けだった。佐島鷹翔とは少年野球の試合で何度も顔を合わせた仲だった。親が向こうの親を意識していたため上屋瑠守自身も自然と彼をライバルと思うようになった。そのせいで最初はピッチャーもやらされたがその後パワーヒッターとして成長した。

 同じ樋ノ杜高校に入り二人はチームメイトとなった。そこで競い合ううちに上屋瑠守は嫌でも気づかされることになる。やはり佐島鷹翔は別格なのだと。

 上屋瑠守が持っていたプロに対する漠然とした思いも、佐島鷹翔は入学時にすでに見据えていた感があった。それでもできるものならばこの先もずっと野球を続けたいという思いは上屋瑠守にもあった。


 喜びににやけそうになる口元を引き締め、上屋瑠守は野球道具を手にグラウンドへ向かおうとする。その彼を呼び止めた人物がいた。

「上屋くん、ちょっといいかしら?」

「望実先生……」

 クラスの英語を担当している沢村望実さわむらのぞみだった。



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