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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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七十五告目  Usher Dollman

 清水郁己は後藤柚姫の感情がおさまるのを静かに待った。そしてゆっくりと椅子から立ち上がる。

「さてと、もういいんじゃないかな。まあ何も変わらないんだけどね」

「待って、私はまだ……」

 後藤柚姫も立とうとするが何故か立ち上がれない。体が反応してくれない。

「何よこれ? どうなってるの」

「内容次第ではどうなるか分からなかったからね。保険をかけさせてもらったよ。君はお茶を気にしていたようだったけどね」

 陰陽師の末裔、Usher Dollmanを名乗る以上このくらいはできて当然なのだろう。

 後藤柚姫は横を通り過ぎる清水郁己の袖を掴もうとする。逆に清水郁己は持っていた封筒を彼女の手に渡した。

「これを君にあげるよ。大丈夫、今となってはただの抜け殻だ。どうするかは任せるよ。忘れないことも忘れてあげることもやさしさに違いはないからね」

「……結局、私たちは相容れない敵どうしってことなの?」

「それを決めるのは僕じゃない。善と悪、勝者と敗者、世の中はそんな単純にはできていないだろう? ああそれと、呪いだけが人の悪意じゃないからね。分かっているとは思うけど一応忠告しておくよ」

 言い残して清水郁己は部室を出て行った。

 手渡された封筒には写真が入っていた。それは去年の文化祭で撮ったもので、後藤柚姫が撮影したものだったからよく覚えていた。ただ本当ならそれは4人で撮ったもののはずだったが、両端にいた鎌田久留美と佐島鷹翔は切り取られ滝川涼香と西木千輝だけになっていた。そしてその写真の2人の顔は赤く塗られカッターで何度も切りつけられぐちゃぐちゃになっていた。


 下校を促すチャイムを聞いて後藤柚姫は動けるようになった。気がつくと部室だと思っていたのは別の空き教室だった。


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