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七十四告目 天人講 28
そして天人講はあっけなく瓦解した。日之原金剛こと雨尻英郷は逮捕され、幹部らも同様の扱いとなった。子供たちも再び施設に預けられることになったが、中には修行を続けたいと寺に引き取られる子もいた。
後藤柚姫は警察が秘匿したこともあって報道に追われることは避けられたが、反対に天人講の情報を収集することもできなかった。彼女にとってそれは苦しくもあったが現実に立ち返るのには必要な時間といえた。
雨尻英郷は少しでも罪を逃れようと後藤柚姫に命令されたのだと言って憚らない。その嘘を子供たちは真っ向から否定して彼女に感謝すらしてくれていると聞かされる。実際に手紙をくれた子もいた。そのことは後藤柚姫の中に新たな決意を生むきっかけとなる。
所詮子供ひとりの力では何も変えられないという現実。だが理不尽な世の中を変えたい、人を救いたいという気持ちは捨てたくない。今は無理でもいつかそうなれるように生きていこう、きっとなってみせる。それが贖罪につながると信じて。
事件が収束した頃、後藤柚姫は刑事に引き合わされた夫婦の養子となる。柚姫という名前は自分で決めた。彼女にとって過去は訣別するものではなかったからだ。




