72/260
七十二告目 天人講 26
後藤柚姫は倒れた状態のまま体の回復を待っていた。スタンガンの影響はすでにないが精神的ショックがまだ残っている。手足の動きを確認しながら木田村紹子を目で追う。反撃よりもどうやって逃げるかを考えるべきだろう。しかしそこから突然に木田村恵の復讐劇が始まった。
木田村恵は隠していた小型のリボルバーを取り出し躊躇せず木田村紹子を撃った。構えがさまになっている。誰かに習ったのかもしれない。続けざまに3連射。いつもの癖で後藤柚姫は弾数を数えていた。リボルバーならあと2発か3発残っているはずだ。それは自分に使うぶんなのだろうかと考えると状況は少しもよくなっていないと分かる。
へたり込む木田村紹子の後ろにまわりこみ木田村恵はナイフで彼女の胸を刺した。返り血を浴びないためだろうか。後藤柚姫は彼女の冷静さに恐怖を感じる。自分も淡々と殺すつもりなのだろうか?
しかし今彼女の手にあるのは銃ではない。持ち替えるには時間がかかる。そして木田村恵は後藤柚姫に背中を向けたまま木田村紹子に何か話しかけている。逃げるなら今しかない。後藤柚姫はゆっくりと立ち上がり走り出した。




