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六十六告目 天人講 20
木田村恵と一緒に暮らす祖父母は両親を悪し様に言い続けた。それは不憫な彼女を守ろうとする気持ちから出た言葉だったが、木田村恵はそれを聞くうちに言葉の裏に世間の同情を買って自己満足に浸りたい祖父母自身の欲求があることに気づく。それをきっかけに彼女は自分に向けられる善意が必ずしもそれだけではない、この世を動かしているものは人の中にある欲と打算なのだという考えに至る。
それ以来木田村恵は人を観察する目を持つようになる。同時に人が何を自分に望んでいるか、それをしてあげることで人は自分に何を返してくれるのかを考えるようになる。突き詰めれば自分の欲求を満たすには人をどう動かせばいいのかを。
木田村恵は両親に捨てられたというトラウマがある。だが思えば彼らは自分の欲求に従って行動しただけなのだ。そしてそれを肯定するならば自分が彼らに復讐することも当然肯定されるべきだろう。そしてそれを成すことだけが心の傷を癒せるのだと木田村恵は信じた。
だから木田村紹子が嘘しかない笑顔で木田村恵に手を差し伸べたときも、彼女は迷わずその手を取った。満面の笑顔を返す裏で彼女は誓う。この女から全てを奪い破滅させてやるのだと。




