65/260
六十五告目 天人講 19
後藤柚姫の能力は分析力によるものといえる。目立たない立ち位置を選ぶには平凡を学び場のルールを察することが必要だったからだ。しかし彼女はいまその仮面を脱ぎ捨ててルールを作る側に立とうと決めた。自分が厳しい修行をこなしカリスマとなる一方で他の子供たちの負担を減らし待遇を少しづつ変えさせていく。日之原金剛に実力を認めさせ天人講をいつか自分たちが安心して暮らせる場所にしたい。自分ならそれが出来る、いややらなくちゃいけない。後藤柚姫はあの日そう心に誓ったのだ。
一方でそんな後藤柚姫をよく思わない者もいた。それが木田村紹子だった。日之原金剛に夫の浮気を指摘され離婚した過去があり、その後天人講に傾倒し教職だったことを活かして天人講の幹部となった。しかし実態は日之原金剛の愛人であった。
後藤柚姫が実力を着けていくにつれ、木田村紹子は自分の存在が薄れていくことを怖れた。そして彼女は自分の地位を向上させ、あわよくば天人講を手に入れられるかも知れない方法を思いつく。
木田村紹子は祖父母に預けていた木田村恵を強引に引き取り、自分の娘こそが天人講の後継者にふさわしいと言い出した。




