57/260
五十七告目 天人講 11
雨尻英郷は多賀野ゆづを連れて近くの生涯学習センターを回り始める。そこで彼は多賀野ゆづを占いに凝っている親戚の娘と紹介した。
彼女はそこで様々な相談を受け占いを通じたアドバイスをする。博覧強記に裏付けされた占いは次第に評判となって、時には裕福な社長夫人などからも相談が舞い込んだ。はじめは仕事の愚痴に近いものだったのだが、多賀野ゆづに会った日から何故か事態が好転し解決に繋がっていった。相手からの謝礼は有難く頂戴した。
また多賀野ゆづは生涯学習センターに来ていた元教諭の女性に声をかける。恥をさらすようですがと前置きしながらも、自分の受験トラブルをカミングアウトしていつかは高卒認定を取り大学にも行ってみたいと話した。彼女は多賀野ゆづに深く同情し協力を申し出る。
そこで雨尻英郷は「どうせなら寺を借りてみんなでやりませんか」と持ちかけた。
「都市部と田舎の教育格差に悩んでいる親は多いし、寺であれば地元の信用もある」
「私一人ではもったいない、どうかお願いします」
多賀野ゆづがそう口説いたこともあり元教諭の女性はその提案を了承した。
こうして雨尻英郷は私塾である天人講を開くことになった。




