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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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五十一告目  天人講 5

「それでも勿体ねえな。じゃああそこでは何であんなに勝てたんだよ」 

 雨尻英郷の疑問に多賀野ゆづは観察と誘導だと答えた。

「あの人たちにはかなり分かりやすいキズがあるから」


 キズというのはギャンブルにおいて欠点となる癖のことだ。ツモに力が入ったり牌の絵柄の上下を直したり鳴くために動作が一瞬止まったりする。

 多賀野ゆづは多賀野宗平が打つ後ろでそれを覚えていた。そうしたキズと捨牌とを合わせると、彼女には相手の狙っている役や手の進み具合などが透けて見えるのだという。

「だから相手をこちらの思惑どおりに誘導するのはそんなに難しくない」

 相手が必要な牌を絞ったり逆に鳴かせたり、別の安い手に振り込んで大きいアガりを回避したりする。加えて逡巡したりわずかな目の動きでも場をコントロールできるという。


「それにあそこの牌にはおじいちゃんがいくつか印をつけていたから」

 イカサマの一種だが牌に傷や汚れなど目印がつけてあったらしくそれを狙い撃ちしたという。

 種明かしを聞けば納得もするがそれはどれも簡単なことではない。子供相手に大人3人が手玉に取られているという現実。雨尻英郷にしてみれば多賀野ゆづの能力はサトリを思わせるくらいに妖怪じみている。

「すげえよ。おまえ……本当に人間かよ」


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