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五十告目 天人講 4
多賀野宗平を入院させたあと、病院の食堂で多賀野ゆづはお礼だと雨尻英郷に10万円を渡してきた。旅費込みだと言ったがこれ以上関わらせたくないということなのだろう。
しかしそのうちの半分を雨尻英郷は彼女に返して、
「まだ用心棒は必要だろう? じいさんが退院するまでは付き合ってやるよ」
と言った。雨尻英郷にしてみればここで別れて指導員に戻るよりずっと稼げるという腹積もりもあった。
しかし彼女は当分雀荘へは行かないと言った。荒稼ぎすると目立ちすぎて地元のヤクザに目を付けられ、悪くすれば街を追い出されることになるという。
「それにあの雀荘でしかあんなには勝てないと思うから」
多賀野ゆづはそれが当然のように言った。麻雀で勝つにはトップを取ることが重要になるが、知らない相手と打つ場合のトップ率は3割、良くて5割だという。
一方で雨尻英郷はまだ年若い彼女が普段から確率を使いこなし大人と変わらない感覚を持っていることに驚いていた。




