四十ニ告目 清水郁巳 7
清水郁巳は話を続ける。
「学校は牢名主が幅を利かせる小伝馬町の牢屋と何も変わらない。弱肉強食の戦国時代のほうが秀吉になれるだけまだましだ。
自分と取り巻きだけでいいポジションを独占したくて他人の足をひっぱる。外面がいいから大人も口を出さないし、自分も楽をしたいから仕切り役を丸投げする。
自分の利益のために人のアイデアや成果を盗んで流行を取り入れたとかオマージュだとか自分のほうがふさわしいだとか平気で言ってのける。それで自分を大事にしすぎて中から腐っていくことに気付かないのは皮肉としか言いようがないけどね」
「それには同意するけどシニコクとは関係ないでしょう? 学校や教育の問題は今に始まったことじゃないし」
ここでようやく後藤柚姫が話を戻そうと口をはさむ。
「ああ、君には釈迦に説法だったね。結局僕が言いたいのは何も相手の土俵で真っ向から戦う必要はないってことだよ。スポーツじゃないんだから。使えるなら銃でも毒でも、それが呪いでも使ったらいい」
「だからってそれを許せると思う? シニコクの呪いにかかった人間は差別されてまともに生きていけなくなる。それにパニックで魔女狩りが起こるわよ」
「それこそ因果応報ってやつだろう? そもそも嘘告なんてしなければいいんだし、したことを相手に誠心誠意謝って許してもらえばいい。手遅れになる前にね」
「でも呪われたら終わりよね」
「それでも死ぬわけじゃない。それにシニコクはやっぱり必要なことなんだよ。君は嘘告が世界を歪めていることに気付かないかい?」




