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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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三十八告目  佐島鷹翔 6

 数日後、佐島鷹翔は鎌田久留美の家を訪ねた。何もかも遅いと分かっていたが、せめて庭先でもいいから彼女に手をついて謝りたかった。

 しかし鎌田久留美の母、恵以子えいこは彼を家に上げ、仏壇の前に案内してくれた。今はこの家に鎌田恵以子だけが住んでいるらしい。佐島鷹翔は鎌田久留美が母子家庭だったことも知らなかった。


 焼香のあと、居間で佐島鷹翔は土下座して自分のあさはかさを懺悔した。そして野球を捨ててこれから街を出て一人で暮らしていくことも話した。傍らには身の回りのものを詰め込んだリュックがある。

「あなたはここに来て手を合わせてくれた。もう十分よ。それにあの子が好きだった人をこれ以上どうにかしたなんていったら、私もあの子に恨まれてしまうわ」

 大きな体を縮こまらせた佐島鷹翔の謝罪を鎌田恵以子は受け入れた。


 去り際に玄関で佐島鷹翔は鎌田恵以子に写真を手渡された。それは去年の文化祭で撮ったもので佐島鷹翔もよく覚えていた。ただ本当ならそれは間に滝川涼香と西木千輝が挟まって4人で撮ったもののはずだったが、その写真は切り貼りされ両端にいた鎌田久留美と佐島鷹翔がフォトスタンドの中で並んでいた。

「そんなことでもあの子、あなたの側にいたかったのよ。分かってあげてね」

 そう言って鎌田恵以子は涙をこぼした。佐島鷹翔は礼を言ってその写真をリュックに入れた。


「世の中悪いことばかりじゃないわ。まだ若いんだから頑張りなさい」

 玄関先で改めて詫びを口にすると鎌田恵以子は肩に手を置いて佐島鷹翔を励ました。

 駅へ歩きながら一度振り返ると、玄関にまだ鎌田恵以子がいて手を振ってくれた。その腕にはまだ新しい包帯が巻かれていてぼうっとして転んでしまったのだと彼女は言っていたが、そこにうっすらと血が滲んでいたのを佐島鷹翔は思い出した。

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