34/260
三十四告目 佐島鷹翔 2
夏休みも2週目に入って、グラウンドからは今日も部活に汗を流す生徒たちの声が聞こえてくる。
この日午後になって佐島鷹翔に呼ばれた西木千輝は屋上に上がって来た。西木千輝が声をかけると彼は「おお」と返事をして振り返った。佐島鷹翔は彼女に呼ばれるまでフェンス越しに野球部の様子をぼんやりと見ていた。
「どうしたの、鷹翔? 練習に出なくていいの?」
大学でも野球を続ける彼は夏休み中も部活に参加してトレーニングを続けている。だから普段ならここにいるのはあり得ないことだった。西木千輝はここに来るまでの間も自分の中にじわじわと広がる嫌な予感が拭えなかった。
(何も心配ない。鷹翔はあたしとずっといてくれる。大丈夫、きっと……)
この数日で生活が一変してしまった彼女はすがるような目で佐島鷹翔を見つめる。しかし彼の口から出た言葉に西木千輝は思わず息を呑む。
「俺学校辞めることにしたんだわ。千輝には最後に言っとこうと思ってな」




