三十三告目 波紋 7
「あたしそんなつもりじゃ……ごめん」
「謝って済む問題じゃないから。呪われてしまったらもう手遅れなの」
「手遅れって……」
「そうでしょう? 呪いを消す方法がない、つまり根本的な治療はできない。あとは対症療法しかない」
「対症療法? どういうこと?」
「原因である西木千輝と距離を置いて縁を切る。そういうことよ」
沖野緑子の言葉が冷水となって西木千輝を硬直させる。
「絶交ってこと? 何でそこまで……ひどいよ……ねえ、ドリ!」
「その呼び方も止めて。縁切りの効果が弱くなるから。分かったらこれ以上迷惑かけないで」
沖野緑子は呪いを解く方法を色々調べたのだろう。その一つとして彼女は鮎川詩穂と一緒に縁切りで有名な神社でお祓いを受けてきたのだと言った。それが西木千輝と距離を取るという考えにも繋がるのだろう。
「ねえ……あたしたち楽しくやってたじゃない……友達じゃなかったの?」
「巻き込まれてこんなことになるなら話は別。それと楽しくやってたってのは千輝の思い込み。私は涼香や千輝の尻ぬぐいをさせられるのはずっとうんざりだった」
そう言われれば沖野緑子とはバスケ以外の話をあまりしていない。誕生日のメールを送っても、一緒にお祝いしたこともない。
「だからもう近づかないで。挨拶もいらない」
「あ、あたし……どうしたらいいの? せめて詩穂に……」
「何もするなって言ってるでしょ! 詩穂は……あの子は自殺まで考えてたんだよ? 本当にそんなことになったら今度は絶交じゃ済まさないからね! ……じゃあ、私はもう行くから」
中庭にひとり取り残され、呆然とする西木千輝が次に気づいたのは自宅のベッドの上だった。どうやって家まで帰ったのかは覚えていなかった。




