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第15話 どうしよう

「という訳で。どうでしょう愛里さん」


えま姉がドヤ顔でダンスを見せてきた。

あー、今ね、ダンス完成したらしいんだ。まな姉はお母さんと一緒にワンピースをパフスリーブにしてて忙しいから愛里に見せてきたんだろうけど……


「あのね!愛里だって忙しいの!今ここどこかわかってる?お、み、せ!店番中なの!いくらお客さんいないからって…」


愛里が言うと、「だって……」とえま姉は言った。


「早く見せたかったんだもん…車庫なら今車もないし近所迷惑にもならないし、ドスドスしても怒られないと思ったんだもん」


なんか謝ってる内容変わってきてるし。


「まあすごいとは思うよ、可愛いし、アイドルっぽくていいと思う。けど、今は店番中!終わってからにしてよ」


愛里がさらに言うと、「あたしも手伝うよ〜」とえま姉は言った。


まあそれはありがたいけどさ!今、お父さんは宅配(うちは宅配サービスもやってるの。このご時世、うちみたいな小さな和菓子屋は、商店街の売り上げだけじゃ生き残れないらしい…)でいないし、お母さんとまな姉は家の方で裁縫やってるから、ありがたいのはありがたいんだけど……


「お客さん、来ないけど」


あーあ。愛里、ちゃんと座ってるのに…愛里もノート持ってきて、勉強なり歌詞作るなりをしたいなぁ…時間の無駄だよ。

ま、そういう意味ではえま姉のタイミングはいいのかもしれないけど。


「ね、あたしも手伝うからさ!二人で見て覚えよ!」


そんなえま姉の提案で、二人で動画を見ながらお店番をすることになった。隣でえま姉が解説してくれるのを聞きながら、何度も繰り返し見て歌とダンスを覚える。


あー、なんか体動かしたくなってきた。自分で言うのもなんだけど、愛里がそんなこと言うの、珍しいよ?愛里はインドアでゴロゴロしたい派の人間だから、動くことなんてあまりないもん。


そんなことを考えながら、いつの間にか覚えてきたBeginner’s Melodyを口ずさんでいると。


「愛里ちゃん、こんばんは〜。お菓子買いに来たよ〜」


と言いながらうちの店に来たのは……


「玲那ちゃん!」


そう、愛里たちのライバルであり、愛里のオタク仲間でもある、玲那ちゃんだった。あ、そっか、えま姉が言ってたもんね、近藤手芸店で〜って。


てか、よく考えたら、こんなに近くに住んでるのになんで知らなかったんだろう?小学校とかは学区が違ったのかな……


まあ、それはいいとして。


「どのお菓子がいい?」


と聞くと、


「んー……お抹茶に合うのがいいかな。お母さんがね、お抹茶点てるから和菓子たのうえでお菓子買ってきてって言ってね。あれ、田上ってもしかしてって思ったら、愛里ちゃんがレジのところに座ってたのが見えたの」


ほえ〜。いいなー、お抹茶。美味しいよね。

じゃなくて…お抹茶に合うお菓子は……うーん、濃茶だったら主菓子、薄茶だったら干菓子なんだけど、ま、今回は主菓子の方がいいかな?最近は中学高校の茶道なら薄茶でも主菓子にしたりするもんね。


「えっとね、詳しいことを言ったら色々あるんだけど、オススメはこれかな〜」


そう言いながら愛里は、ケースの中に入ったお菓子の中のある一つを指さした。


「わあ、可愛い!」


それは、桜をイメージして作られたお菓子だった。お父さんが一つ一つ心を込めて作ってるお菓子の中でも、季節に合わせたお菓子は大人気なんだよね(愛里も作るの手伝っております)。


「なら、これ買うね〜!十個買わせてもらいます!」


おお、金持ち…じゃない、お会計しないと。


お金を払って商品を手渡すと、笑顔で「ありがとう〜」と言って出ていった玲那ちゃん。その姿を見て、愛里はふと思うのでした。


もし、ハイドラ出場権を賭けた戦いで、気まずくなったらどうしよう…

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