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第14話 驚いてる暇はない

「お姉ちゃん、愛里、ちょっといい?曲作ってみたからさ、聞いて欲しいんだけど」


夜、あたしがそう言うと、縫い物をしてるお姉ちゃんとノートを机の上に広げた愛里がこっちを向いた。


「早いね〜絵愛。すごい!」


褒めてくれるお姉ちゃんに、「まあ愛里がメロディを作ってくれてたから…」と言うと、「じゃあ愛里も凄い!」と言っていた。なんか面白い。


「で、どんな風になった?」


待ちきれないというように急かしてくる愛里とワクワクしたお姉ちゃんに、作曲アプリを開いたケータイを手渡す。


アプリのメインメニューには、一つだけファイルがあった。もちろん、そのタイトルは、「Beginner’s Melody」。


喜んで貰えるかな。あたしはドキドキしながら音量を調節し、そのファイルをタップした。


軽やかな音が流れだす。やっぱりぎこちない感じもある、「Beginner」の私が作った「Melody」。それでも、誰かの背中を押すようなものになればいいな。


曲が終わると、二人が顔を上げ、言った。


「絵愛、めっちゃいいよ、これ!」


「愛里も思った!えま姉凄いね!」


なんか、こうやって面と向かって褒められると照れるね…でも


「ありがと、二人とも!」


数分後。あたしと愛里はそれぞれ机に向かっていた。

愛里はソロ曲の歌詞作り、あたしはダンスと忘れていた練習メニュー作り。え、愛里が作曲してた間、何してたかって?ハイドラの対策サイトを見てたら楽しくなっちゃって……うん、もうこれ以上は察して!


とりあえず練習メニューが先かな。やることって、ランニング、柔軟、筋トレ、ボイトレ、歌練、ダンス練くらい?で、時間を決めてこれをやる…ランニングは、うちの店もある目の前の商店街…は怒られるだろうから、学校の前の坂でいいかな。回数は三往復で、プラス朝と帰りは走って上がるもしくは下りる!で、柔軟や筋トレは学校の部活時間と帰ってお風呂入ってからの二回やる。ボイトレのあと歌練、ダンス練。こんな感じでいいかな?


とりあえずこれメモっといて、ホントにできるようになったらやろっと。


さ、これは置いといて、ダンス作っちゃおう!えっと……

Beginner’s Melodyは明るい応援ソングだよね。だったら、大きなゆったりとした動きより活発で跳ねるような動きがいいよね。

ジャンプやターンを多めにして、なおかつ歌詞とも合うようにして……あー、そう考えたら結構難しいかも。


なんて思ってたら、お姉ちゃんが「よし、一個完成!」と言い、持っていた針を針山に突き刺した。

なんだろ、と思って、同じことを思ったであろう愛里と共にお姉ちゃんの手の中を覗き込んだら。


そこには、ピンク地に白ドットの布でできたシュシュがあった。


「すごい、これ、Beginner’s Melodyの衣装?」


愛里が聞くと、お姉ちゃんは満足気に「そうだよ〜」と言った。


「あのね、三人のメンバーカラー的なのを考えたんだ。それで、私がピンク、絵愛が水色、愛里が黄色かなって思って、それぞれの色のドット柄の布を探して作ってみたんだ。本番は三人ともポニテにして、シュシュで結んだら可愛いかなって」


なるほど、たしかに可愛いかも!それに皆同じ髪型で衣装の色だけ違うの、三つ子!って感じがしてて可愛くない?


「このシュシュを三人分作ったら、昨日買ったワンピースの袖をパフスリーブにしたいんだよね。まあ、お母さんがやり方分かったらなんだけど」


ほえー……すごいね。本格的なアイドルみたい…って、驚いている暇はないよね!あたしはあたしのやることをやって、絶対絶対、ゆりかちゃんたちEIGHTH STARに勝ってみせるんだ!

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