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第12話 柄にもなく

ざわざわ。朝から教室は騒がしい。昨日入学式を終えたばっかりだっていうのに、もうみんな仲良くなっちゃったのかな。


この学校は運動部が強いから、県外からも大勢の生徒が来ている。だから、そんなに知り合い同士はいないと思ったんだけど……

あ、でも、ゆりかちゃんだっけ?アイドルやりたいって言ってた子。えま姉曰くその子たちは中学時代からの仲良し八人組らしいから、結構知り合い同士もいるのかも。


うーん、アウェイだなぁ。そもそも愛里、人付き合い苦手なんだよね。中学の時もお姉ちゃんたち以外で一緒にいたの、一人だけだし……なんならその子今は別の学校だし……


あーあ。ぼっちだぼっち〜。まな姉とえま姉のコミュ力が羨ましい……

なんて考えてたら。


「あの、田上愛里ちゃんだよね?私、近藤玲那って言います。愛里ちゃんのお姉さんの絵愛ちゃんと同じクラスの津田ゆりかと一緒にハイドラに出たいと思ってるの」


なんかほわほわした子だな。というかやっぱりそこも連絡とってるよね…先手を打つことが出来てるって訳でもなさそう。まあ現実、先手を打つことイコール勝ちではないけどさ。

なんてことを考えてたら、目の前のれなちゃんは相変わらずほわほわした調子で言う。


「でね、ライバルになる訳だけど…私、全然そんなこと考えてなくって。ねね、愛里ちゃん、愛里ちゃんが鞄に付けてるそのラバストって、GoGのアサルトちゃんだよね?私もGoG好きだから、愛里ちゃんも好きなら話したいなって思ったの!」


ライバル、という言葉に身構えたけど。あれ、ただのオタク仲間……?


「う、うん。愛里、GoGの中で一番アサルトが好きで…」


愛里が返すと、れなちゃんは嬉しそうに、


「そうなんだ!私はグレランちゃん推しなの!グレランちゃん、ほんと可愛くて…」


そっか、れなちゃん、グレラン推しなんだ…ってあれ?いつの間にかオタク話してるぞ?

そんなこんなですっかりオタク話に花を咲かせていたら。


キーンコーンカーンコーン。

愛里たちの話をぶった斬るかのように、予鈴が鳴り響いた。


予鈴を聞いたれなちゃんは名残惜しそうに言った。


「あ、席戻るね…あ、そうだ。よかったらお昼一緒に食べない?もっともっと話したいの!」


……!


「う、うん……!」


こ、れは…愛里、友達できたかも?

いや、まだ決めつけちゃいけない。こっちが友達だって思ってた人に「え、ごめん、友達だったん?笑」とか言われたら立ち直れないもの……メンタル弱い愛里は耐えらんない。


でも、誘われたのはとっても嬉しくて。これから始まる高校生活に胸をときめかせたりなんかしちゃったわけです。


ていうか、授業、暇だな……始業式の次の日だからか、どの先生も自己紹介しかしないし…

ま、進学クラスだから気合い入れとかなきゃなんだけど。


そんなこんなで午前の授業を終えた愛里たちは、教室で向かい合ってお弁当を広げていた。

オタク話で盛り上がってる最中、れなちゃんが言う。


「そういえばね。愛里ちゃんたちと勝負をしたいって、ゆりかが言ってたの。どっちがハイドラに出るかの勝負をね」


う…やっぱりか。予想はしてたけどね。


「ちなみに、勝負内容は、そっちがOKならやっぱりライブ対決がいいって。ハイドラ出場をかけた勝負だから。まあ、その辺は今日の放課後にでも詳しく話し合うと思うの…今日の放課後、空いてる?」


「え、あ、うん!空いてるよ!」


愛里が慌てて答えると、れなちゃんは


「そっか、それならこの教室で待ってて。多分、みんな来るから」


と言った。

遂に、愛里たちのライバルと相見えるときが来るのか……なんて、柄にもなく不安を抱えて午後の授業時間を過ごしましたとさ。

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