第11話 なんでも出来てしまいそう
「愛里、ごめんなさい!」
「だから別にいいって言ってるじゃん。愛里怒ってないもん」
あーあ。またやってる。毎度のことだけど、飽きないなぁ…なんて、あたしが言ったら二人ともあんたもじゃん!って怒るかな?
そんなことを考えながら、あたしはお姉ちゃんと愛里が喧嘩してるのを横目で見ていた。
今は夜ご飯も食べ終わり、風呂掃除から戻ってきた愛里、食器を洗い終えたお姉ちゃん、洗濯物を片付けたあたしとで部屋に戻って曲作りを始めたところ。
なんかもう面倒くさくなってきたので(だって食事中もずっと空気が重かったんだよ?)聞いてみることにする。
「で、なにがあったの?」
あたしが聞くと、お姉ちゃんははぁ、と溜息をつきながら言った。
「私、さっきイヤホンしてたでしょ?その時に愛里がご飯できたよって言おうとして肩を叩いたんだけど、私、別の用事なのかと思ってさっき言っておいてよ!ってキレちゃったの」
ん?さっき?ああ、漫画借りてた時か。
まあ、ご飯できたよって言おうとしたらキレられるのは意味わかんないし腹もたつよね。だからといってここまで頑なになる程のことでもない気がするけど……
「ねー、愛里、お姉ちゃんも反省してるんだし、許してあげたら?」
あたしが言うと、「だから怒ってないったら!」とだけ愛里は言った。うーん、どうしたものか……
なんてあたしが考え込んでたら、愛里がポツリと言った。
「だから、愛里別に怒ってないもん。ただ愛里がご飯って声掛けただけなのにキレられたのが嫌だっただけだもん。謝んなくていいから早く作業して早く寝ないと。明日だって学校なんだからね!」
まあ明日学校だもんね〜、確かに早くしないと〜。
……って、あー!そうだ、明日また学校じゃん!うちの学校は4月6日に始業式をやるって決まってて、今日は木曜日だから……明日も学校だよー!
「「ヤバイじゃん!!」」
お姉ちゃんと二人して悲鳴をあげ、慌て出す…と愛里はぷっと吹き出し、「そんなに慌てなくてもいいよ」と言った。
あ、愛里、やっと笑顔になった……!
「んもう、二人共が抜けてるから、愛里も意地張るの疲れちゃった。ほら、早く終わらせよ。デザインと曲の簡単なアレンジが終わったら、今日はもう風呂はいって明日の準備して寝る!明日だって朝の掃除とかあるんだからね!愛里お風呂入ってくるから、さっさとやっておいてよ?」
愛里のその言葉に、「「うん!」」と頷き、あたしとお姉ちゃんは手を進める。
なんだか不思議、さっきまでは全く進まなかったのに、今ではやる気に満ち溢れている。なんでも出来てしまいそう!
なんて思ってたら、お姉ちゃんはスケッチブックをパタン!と閉じた。
「あれ、どうしたの?」
あたしが聞くと、お姉ちゃんは満面の笑みで、「デザインは終わったよ!出来上がりは見てからのお楽しみ」と言った。
え、早い!凄い!いいな……じゃなくて。
「もう終わったの!?」
あたしが驚いて聞くと、お姉ちゃんはのんびり「うんー」と言った。
早いなぁ…もしかしてあたしだけ、作業ペース遅い?
少し不安になっていたら、お姉ちゃんが笑顔で、
「作曲は1番時間かかるんだから、焦らなくていいよ」
と言ってくれた。
その言葉が嬉しくて、あたしはより一層作曲に力を入れる。
伴奏はこうがいいかな?歌は何調にしよう(愛里が歌って渡してきたから、
明確に調がないんだよね)、間奏はこんな感じで……
思うがままにケータイのアプリに打ち込んでいく。進んでは聞き、進んでは聞きを繰り返して、曲の一番くらいは仕上がった時。
「絵愛、お風呂入りなよ」
とあたしに声をかけてきたのは…
「お姉ちゃん!」
あれ、いつの間にかお姉ちゃんも入ってたみたい。愛里は髪を乾かしていつの間にかまた机に向かってる。
そして、壁にかけてある時計を見ると十一時で、もういい時間だし……
「あ、うん、入ってくるね…そうだ!一番、できたよ!」
あたしは笑顔で言うと、入ってくるねの意を込めて手を振った。




