エピローグ
《エピローグ》
真夏の暑さはゆっくりと過ぎ去りはじめ、秋へと季節は移ろい始める。しかし、まだ十分に残暑が残る深い森に佇む一軒家の庭先に人影が見えた。
銀色の耳と尻尾を持つ獣人の"若者"は、その一軒家の壁に身を任せるように立っていた。腕を組ながら穏やかな眼差しを向けるその先には、"若者"の守りたいと願い、騎士としての誓いを立てた大切な黒髪の"少女"がいた。
"少女"は優しく微笑み、その腕に抱いている"赤子"をあやしている。足元には、黒猫と犬の守護者達がその"少女"の姿を見上げている。"少女"もそんな彼らに、時折視線を投げ掛けては笑いかけている。
その温かく、平穏と言える光景を目にしながら、"若者"は思い出す。戦士の儀に勝利したにも関わらず未熟であることを理由に戦士と認められなかった日の事を・・・。
だが、そのおかげで"若者"は一人っきりの孤独を抱え、辛い旅のその果てに"少女"と出逢う事ができたのだ。"若者"の獣の耳に"少女"の己の名を呼ぶ声が聞こえる。
その呼び声に答えるように、"若者"は"少女"に向かってゆっくりと歩き出すのであった。
嘗ては力を追い求め、認められることだけを望んでいた未熟な戦士たりえなかった"若者"の後ろ姿には、他者を信じ、慈しみ、大切なものを護るという誠の戦士の資格が宿っていた。
引き続き呼んで頂きありがとうございます。
第三章これにて終幕にございます。次は第四章ですね。これから、リクの行動範囲は拡大していく予定です。新しい登場人物達も一気に増えることでしょう。思い描いている彼らを魅力的に表現していけるように頑張りたいと思います。
これからもどうぞ温かい眼で見守って頂けると幸いです。




