8歳児と狼さんの驚きの真実。
「とりあえず、落ち着きましょう。」
冷静さを取り戻した私は、再び大乱闘が始まることがないように静止します。
「リク、大丈夫よ。おししょーさまがこんな糞ガキ退治してあげるからね。」
「そうだぞ、リク。お前の貞操は俺が守ってやるからな、心配しなくて良いんだぞ。」
「・・・二人とも落ち着いて下さい、結論から言いますが私にシオンさんの子どもは産めませんよ。」
シオンさんに躍りかかろうとしていた二人と、迎え撃とうとしていたシオンさんの動きが止まります。
「そうだよなっ!リクも嫌だよな。ったく、焦っちまったじゃねえか。」
「そうよねっ!リクはまだまだ、私たちと一緒にいたいものね!!」
嬉しそうに、弾むような声を上げる二人と対照的にシオンさんはとても悲しそうな顔をしています。
「・・・リクは、やっぱり僕が嫌いなのか?」
「そんな事はありませんよっ!
ただ、私とシオンさんでは子どもが産まれるはずが無いではありませんか。」
私の言葉に3人は首を傾げています。・・・・・・そこで、何故シオンさんまで首を傾げるのでしょう?
理由は、彼女だって分かるはずでしょうに。
「・・・・・シオンさんは女性ですよ?お師匠様、キースさん。」
『・・・・・・・はあぁぁぁっっっーーー!!!』
「・・・・・?」
シオンさん、ですから貴女が何故首を傾げるんですか・・・?
え?親から子への保健体育的な物とか無いんですか?この世界は?
驚愕の事実なんでしょうか、三人にとっては?
確かにまあ、二人ともシオンさんを男性的な扱いをしていましたね。シオンさんは確かに女性にしては背は高いし、声も低めです。でも、十分に顔立ちは女性として綺麗だと思うのですけれど・・・。まあ、男性の麗人といった風に見えるとも言えますが。
「シオンさん、残念ですが女性同士では子どもは出来ません。
だから、私はシオンさんの番いにはなれないんです。」
「・・・・・そうだったのか。」
シオンさんは私の言葉に残念そうな顔をしています。そして、しばらく考え込んだ後に立っている私の前に跪きました。
「ならば、リク。
柄にもないことかもしれないが、僕は貴女の騎士になろう。」
「シオンさんがですか?」
「そうだ。
・・・我は主たるリクに従い、主の道を阻む全ての物を排除する剣とならん。常に主の側にあり、たとえ、この身が朽ち果てる事となろうとも全ての邪悪より護り続ける盾とならん。」
跪き、頭を垂れ、私に向かい誓いの言葉を捧げるシオンさん。
「・・・あ、どうすれば・・・・・・?」
「どうか、"許す"と。
僕を貴女の、リクの騎士になることを許すと言って欲しい。」
シオンさんの真剣な声に促されるように私は答えました。
「"許します"、どうか、私の側にいて下さい。
私は、たとえシオンさんが騎士としてではなくても友人や仲間として側にいて欲しいと思っています。」
「ありがとう、リク。」
私の許しを得たシオンさんはとても満足そうでした。
「だが、考えたんだがリク。」
「・・・?何をですか?」
唐突なシオンさんの言葉に思わず聞き返してしまいます。
「別に子どもが産まれなくても構わなければ、番いにはなれるのでは無いだろうか?」
「・・・・・・・・・。」
確かに前世でもそういう方々はいらっしゃいました。そう思えば無しとは言えないのでしょうか?
「だめよっ!!どうしても、リクが結婚したいならあたしがリクと結婚するわっっ!!!」
悩み始めた私の思考を遮るように復活したお師匠様が再び叫び始めました。そんなお師匠様に触発されるように、キースさんが叫び始め、シオンさんを巻き込み、徐々に収拾がつかなくなり始め、そんな私の大切な家族達の様子を見て、私は真夏の太陽のように強く、明るく、輝く、彼らがやっぱり大好きだなあと感じるのでした。
いつも呼んで頂きありがとうございます。
とうとうシオンさんの性別が明かされてしまいました。シオンさんという人物が産まれた時から獣人の男装の麗人、女性騎士として設定していた彼女は最後まで私を悩ませる存在でした。最後の性別を書いた時まで、本当に女性で良いのか悩んでいました。でも、やっぱり格好いい女性としたいなと思い女性のままで描くことに決めました。
ですが、男性のシオンさんも捨てがたいので、そちらは今後短編などで"もしも男性だったら?"として描ければ良いなと思います。
別に新しい連載も始めましたので、そちら共々これからもよろしくお願いします。




