都市へ
「ちょっとー、何か言ってよねー。」
恥ずかしそうにもじもじするミツキさん。
まずその服をなんとかしてほしい。
「どうしたんですか?
いや、すごく助かりましたけど。」
「うん?
いやね、ランカー同士で集まろうって話になって。
そのほうが色々都合がいいでしょ?
けど誰もドルフくんの連絡先知らないんだもん。
探すの苦労したわ。」
うっ。
ぼっちですみません。
「ランカーが集まればそれだけスムーズに人命救助ができる。
っていうのがランカーの総意。
だから迎えに来たの。
それに、純粋な戦力としてドルフくんほど頼もしいプレイヤーはいないからね。」
「そんな、大袈裟な。」
そう言ってミツキさんはガノンを見る。
まるで今気づいたみたいな反応だ。
いや、実際にそうだったのかもしれない。
「あ、ごめーん。
君は?」
「あ、はい!
ガノンと言います!
巨人族です!
ジョブは!」
「ああ、いい、大丈夫。
で?
プレイヤーはガノンくんとドルフくんの二人だけ?」
ズーンと効果音がつきそうなほど落ち込んだ様子のガノン。
ミツキさんは自分より弱い人にはあんな態度だから。
「そうですね。
今のところは。
一応掲示板で呼びかけてはいるんですけどね。」
「そかそか。
じゃ、取り敢えず飛ぼっか。」
いきなりだな。
「あ、もちろんノンプレイヤーも全員ね。」
「わかりました。
少し話して来ます。」
「あ、待った。
俺が行く。」
「そ、そう?
任せたよ。」
とぼとぼと歩く後ろ姿からは哀愁を感じる。
ミツキさんの冷たい視線と声に当てられたのだろう。
確かにあんな目を向けられたら一緒に待ちたくない。
「ランカーはどれくらい集まってるんですか?」
「うん?
ドルフくん以外は全員集まってるよ。」
僕だけぼっちだったと。
「みんなノンプレイヤーや非戦闘プレイヤーの保護に動いてるよ。
大方は問題ないかな。
日本プレイヤーは廃人だらけだしね。」
そう言ってウインク。
うん。
「おーい。
できるんならすぐにでもお願いしたいってさ!」
そんなことを話しているとガノンが手を振ってやってきた。
歩くたびに地面が揺れる。
「食料が尽きそうなんだと。
信じてはくれないけどやるだけやってみろってさ。」
「そか。
じゃ、ちょちょいとやっちゃおっか!」
ぞろぞろと地下から出てくる住民たち。
百人いるだろうか。
この街にはもっと人がいたはずだけど。
...考えないようにしよう。
「はいはーい。
みなさん動かないでねー。
一瞬で済んじゃうからー。」
何が始まるんだと、ざわめきが生まれる。
説明は行き渡っていないみたいだ。
きっと驚くだろう。
「よーし、じゃあ行っちゃうよ。
地点は東京、人数は、っと!」
地面に大きな魔法陣が刻まれていく。
ちょうど全員の足元に。
魔法陣は発光し、体は吸い込まれるような感覚に陥る。
初めてのその感覚にノンプレイヤーはもちろんガノンですら緊張の表情を浮かべている。
しばらく発光が続き、ぐらりと視界が歪んだ直後。
「はーい!
いらっしゃい!
ここが世界で一番安全な都市、東京でーす!」
目の前の景色はガラリと変わり、ビルが並ぶ街中に立っていた。
人々の驚きが伝わってくる。
「ふふ、皆さんもう安心ですよ?」
優しい顔をしたミツキさんの言葉を皮切りに歓声が街中に響き渡った。




