第7話:初めての二人きり買い出しと、重い荷物と甘い密着
「――よし、それじゃ出勤とするか!」
土曜日の午前九時。雲一つない青空が広がる絶好の買い出し日和だ。
俺、浅比誠は、両手に巨大なエコバッグを抱えて玄関に立っていた。
その隣には、私服姿の彩咲月菜が並んでいる。
薄手のオフショルニットに膝丈のフレアスカート。
普段の制服姿も美しいが、私服の月菜は年相応の可愛らしさが際立っていて、思わず見惚れそうになる。
「な、なにジロジロ見てるのよ……。変かしら?」
「いや、すごく似合ってる。可愛いよ」
「〜〜〜っ!? か、可愛いとか軽々しく言わないでよ! 破廉恥!」
一瞬で顔を真っ赤にし、ぷいっと横を向く月菜。だが、その唇は嬉しそうに小さく緩んでいた。
二人で大型スーパーへ向けて歩き出す。
普段は賑やかな七人姉妹の邸宅を抜け出し、二人きりで歩く街並み。
どこか甘く甘酸っぱい雰囲気が漂い、俺の胸も少し高鳴っていた。
「……ねえ、浅比くん」
「ん?」
「今日はなにを作る予定なの?」
「七人分の一週間分の食材だからな。まずは日持ちする根菜類に、大容量の肉パック、あとは土和たちの好きなお菓子も少し買っておかないとな」
「ふーん……あ、あたしはお菓子なんて別に……」
「そうか? 月菜の好きなイチゴ味のクッキーも買おうと思ってたんだが」
「――買います! それは絶対に買います!」
速答する月菜。本当に素直じゃない奴だ。
スーパーに着くと、俺たちは巨大なカートを押しながら広い店内を回った。
熟練の目利きで新鮮な野菜や肉を次々とカートに放り込んでいく俺の手際に、月菜は感心したように目を丸くしている。
「すごいわね……浅比くん。まるで本物の主婦みたい」
「伊達にずっと家事をやってないからな。ほら月菜、あっちの特売コーナーで卵も確保するぞ」
「あ、待ちなさいよ!」
買い出しを終える頃には、エコバッグ四つ分がパンパンに膨れ上がっていた。
総重量はかなりのものだ。
「よし、俺が全部持つよ」
「バカ言わないで! そんなの持てるわけないでしょ! あたしも半分持つわ!」
「いや、月菜の手が痛くなるだろ。俺が――」
「いいから持つの!」
意地を張る月菜は、最も重い肉と野菜が詰まったバッグの持ち手をガシッと掴んだ。
しかし――
「んっ……! う、うそ……重っ!?」
持ち上げた瞬間、月菜の身体がバランスを崩し、よろりと傾く。
「あ、危ない!」
俺は慌てて手を伸ばし、彼女の華奢な腰をキュッと抱き寄せた。
――ガバッ。
「きゃっ……!?」
勢い余って、月菜の身体が俺の胸の中へと飛び込んでくる。
ふわりと舞い散る、甘いイチゴのシャンプーの香り。
俺の胸板に、月菜の柔らかいな身体が隙間なく密着した。
「あ……浅比くん……」
「だ、大丈夫か月菜!?」
「あ、えと……う、うん……」
至近距離で見つめ合う二人。
月菜の瞳が潤み、真っ赤になった顔から熱気が伝わってくる。
俺の腰に回された彼女の細い腕が、なぜか離れようとせず、キュッと力が込められた。
「……あの、月菜? もう離れても――」
「や……」
「え?」
「やだ……もう少し……このまま……」
蚊の鳴くようなで呟く月菜。
彼女の甘いな一面が全開になり、俺の理性が今度こそ限界を迎えそうになる。
(う、美味すぎるギャップだろこれ……!)
しばらく二人で抱き合ったまま立ち尽くし、周りの視線に気づいた月菜が「〜〜〜っ! 変態!」と叫んで跳び退くまで、甘い時間は続いたのだった。
【お世話係誠の!生活豆知識のコーナー! #7】
「まとめ買いしたお肉を美味しさキープで長持ち冷凍保存!」
お肉をそのまま冷凍庫に入れるのはNG!パックから出し、『1回分ずつラップで空気が入らないようにピッタリ包む』のが鉄則!さらにジッパー付き保存袋に入れて金属トレーの上で急速冷凍すると、お肉の細胞が破壊されず、解凍した時の肉汁(旨味)の流出を最小限に防げますよ!試してみてね!
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