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家事壊滅な7人姉妹のお世話係になりました  作者: 三日月
第二部①:新春! 炬燵と雪と、七人姉妹の冬休み
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第55話:氷の靴音と、秘密の登校路

一月八日、凛とした冷気が街を包み込む三学期の始業式の朝——。


「みんなー! 朝ご飯できてるよ! 始業式初日なんだから、遅刻しないようにね!」


僕——浅比 誠(あさひ まこと)が台所から声をかけると、階段からパタパタと賑やかな靴足音が降りてきた。


「おはよう誠お兄ちゃん! ついに三学期始まっちゃったよ〜!」


三女の彩咲(あやさき)灯華(とうか)と六女の彩咲(あやさき)絢金(あやか)が、ピシッと整えられた制服姿で飛び込んでくる。


「……おはようございます、誠さん。三学期の初日、お出汁の香りで目が覚めました」


四女の彩咲(あやさき)水樹(みずき)と五女の彩咲(あやさき)木乃香(このか)も続き、末っ子の彩咲(あやさき)土和(とわ)が幼稚園の制服姿でトコトコと僕の足元へ歩み寄ってきた。


「誠おにいちゃん! とわも、ようちえん行くのー!」


「すごいね土和ちゃん、偉いぞ! はい、みんなにはシャキッと目が覚める『特製・焼き鮭と具だくさん豚汁の和朝食』だよ!」


テーブルに温かいご飯が並べられ、賑やかな朝食が始まる中、二楼から静かに降りてきたのは彩咲(あやさき)月菜(るな)だった。


紺色の美しいブレザーに身を包み、黒髪をサラリと揺らした姿は、まさに校内中の男子が生唾を呑む「高嶺の花・生徒会副会長」そのものだ。


「……おはよう、みんな。……誠も、おはよう」


「おはよう、月菜。始業式、寒くなりそうだから温かい豚汁たくさん食べてね」


僕が笑顔でお椀を渡すと、月菜はすっと僕の隣へ腰掛け、妹たちが見ていない隙にテーブルの下でそっと僕の足に自分の足先を擦りつけてきた。


「……ありがと。誠」


耳元で小さく囁かれる声。

冬休みの間に二人きりで交わしたたくさんのキスと秘密の約束。学校が始まっても、僕たちの心はしっかりと結ばれ合っていた。


「あら〜、二人とも朝からとっても仲良しね〜」


長女の彩咲(あやさき)陽葵(ひまり)さんが、胸元の開いたニット姿でふわりと微笑みながらお茶をすする。


「なっ……! 陽葵お姉ちゃんっ! 仲良しだなんて、ただの挨拶じゃないっ!」


真っ赤になって抗議する月菜。

リビングに溢れる弾けたような笑い声とともに、彩咲家の三学期が賑やかに幕を開けた。


◇


「——じゃあ誠、私は生徒会室の早朝会議があるから、先に行くわね」


屋敷の玄関で、月菜が革靴を履きながら振り向いた。


「うん、いってらっしゃい月菜。気をつけてね」


僕が送り出すと、月菜はドアを閉める直前、誰にも聞こえない声でそっと囁いた。


「……今日の放課後、裏門の近くで待ってるから。一緒に帰りましょう……?」


可憐に頬を染めて走り去っていく月菜。

学校では「お世話係と高嶺の花」という秘密の関係だが、だからこそ二人きりの下校時間が何よりも待ち遠しかった。


学校に到着すると、始業式の体育館は冷え込んでいたが、生徒たちの熱気で溢れていた。

壇上で生徒会副会長としてビシッと挨拶をこなす月菜の姿は、誰もが憧れる完璧な美少女そのものだ。


(あんなにカッコいい月菜が……家では僕に甘えてくれるんだもんな……)


胸の奥が誇らしさと甘い愛おしさでいっぱいになる。


◇


放課後——。

夕暮れ時の茜色の光が校舎を染める頃、僕は約束通り裏門近くの街灯の下で待っていた。


サッ、サッ、と落ち葉を踏む軽やかな足音。


「……誠、お待たせ」


コートを羽織り、僕が元日にプレゼントしたネイビーブルーの手編みマフラーを首元に巻いた月菜が走ってきた。


「月菜! 生徒会の仕事、お疲れ様。マフラー、使ってくれてるんだね」


「当たり前でしょ……。誠がくれた大切なマフラーなんだから……っ」


月菜はマフラーに顔を埋めながら、周りに誰もいないのを確認すると、躊躇することなく僕の右手を自分の両手でぎゅっと包み込んできた。


「月菜……? 誰かに見られたら……」


「いいの。裏門のこの通りは誰も通らないわ。……それに、一日中学校で『高嶺の花』を演じてて……誠に会いたくて、我慢できなかったんだから……っ」


上目遣いでまっすぐ見つめてくる月菜。

その可愛らしさに、僕の心臓がドクンと大きく跳ね上がった。


僕は繋いだ手を引き寄せ、月菜の小さくて柔らかい手を自分のコートのポケットの中へ一緒に滑り込ませた。


「っ……! 誠……?」


「ポケットの中なら、誰にも見えないでしょ? 温め合おう」


「……バカ。……そういうところ、本当に反則よ……っ」


ポケットの中で指と指を絡め合わせる。

手のひらから伝わる熱が、冬の冷たい風を溶かしていくようだった。


「……ねえ、誠」


「ん? なぁに?」


「三学期が始まったら……もうすぐ二月で、バレンタインね」


月菜は恥ずかしそうに下を向きながら、ポツリとつぶやいた。


「私ね……今年のバレンタインは……世界で一番美味しいチョコレートを、誠のためだけに作るって決めてるの」


「月菜……! 本当? すごく楽しみだな!」


「ふん、期待しておきなさい。……でも、失敗したら慰めてね……バカ誠」


照れ隠しに笑う月菜。

茜色の夕暮れの中、僕たちは手を繋ぎながら、温かい我が家へと向かって歩みを進めていった。


◇


「ただいまー!」


屋敷のドアを開けると、香ばしいお醤油と出汁の香りが漂ってきた。


「あ! 誠お兄ちゃん、月菜お姉ちゃん、おかえりー!」


リビングでは、灯華と水樹が温かいお茶を用意して待っていた。


「二人とも、下校デートごくろうさま〜!」


「「っ!?!?!?」」


「と、灯華っ!? デートなんてしてないわよっ! たまたま帰り道が一緒になっただけで……っ!」


真っ赤になって叫ぶ月菜に、リビング中からキャッキャと温かい笑い声が巻き起こった。


三学期が始まり、季節は冬から春へ、そしてバレンタインや新学年へと着実に進んでいく。

どんな季節が巡ってきても、僕と彩咲家の絆、そして月菜との愛は、より強く、甘く輝き続けるのだった。


---


【本日のお世話係メモ:家庭で役立つ豆知識 55】

『冬の通学・通勤に使える!冷えた手足を一瞬で温める「ツボ押し」ハック』

冬の寒い日の帰り道、手足が冷え切って痛くなってしまった経験はありませんか?

手袋やカイロがなくても、身体を内側から一気に温める魔法のツボをご紹介します!


① 『陽池(ようち)』(手の甲側・手首のシワの中央にある凹み):ここを反対の手の親指で「痛気持ちいい」強さで10秒押し込む!

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② 『合谷(ごうこく)』(親指と人差し指の骨が交わる凹み):ここを少し強めに揉み解す!

★全身の血流が良くなり、手先の冷えが一気に吹き飛びます!


これで冬の下校道もぽかぽかで過ごせますよ!

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