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家事壊滅な7人姉妹のお世話係になりました  作者: 三日月
第二部①:新春! 炬燵と雪と、七人姉妹の冬休み
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第54話:畳を叩く札音と、冬休みの残響

一月二日の午後——。

お正月の穏やかな日差しが彩咲(あやさき)家の広間に差し込む中、畳の上には白熱した熱気が充満していた。


「——『しのぶれど 色に出でにけり わが恋は……』っ!」


パンッ!! と快音が響き、畳の上を舞った札が壁に激突する。


「しゃぁぁぁあ!! 取ったぁぁぁっ! アタシの勝ちー! 見たか水樹ー!」


三女の彩咲(あやさき)灯華(とうか)が立ち上がり、ガッツポーズを決める。


「……くっ。上の句の『しの』の時点で張っていたのですが……灯華の反射神経、恐るべしです」


四女の彩咲(あやさき)水樹(みずき)が悔しそうに膝を叩く。

広場で繰り広げられているのは、彩咲家恒例(?)の『新春・百人一首&かるた大決戦』だ。


「ふふ、灯華ちゃん素早いね! じゃあ次の一首を詠むよ」


僕——浅比 誠(あさひ まこと)が読み手として札を手に取り、喉を整える。

昨夜、月菜(るな)の部屋で交わした秘密の手編みマフラーの贈呈と甘いキスの余韻が、今も僕の首元と胸の奥をじんわりと温めている。


ふと視線を送ると、僕の斜め前で膝を揃えて座る月菜と目が合った。

彼女は昨夜の出来事を思い出しているのか、僕と目が合った瞬間に頬をポッと桃色に染め、慌てて視線を畳の札へと戻した。


(あんなに甘い顔を見せられた後に、こうして普通にしてる月菜が可愛すぎるだろ……!)


胸の鼓動を落ち着かせながら、僕は朗々と上の句を読み上げる。


「——『めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに……』」


「はいっ!!」


パシィィン!! と可憐かつ鋭い手が畳を叩いた。


「取ったわ。『雲がくれにし 夜半の月かな』……私の勝ちね」


鮮やかに札を手中におさめたのは月菜だった。

凛とした立ち振る舞いと、どこか気品漂う手さばき。まさに彩咲家の頼れる次女であり、学校での「高嶺の花」そのものの姿だ。


「すごーいっ! 月菜お姉ちゃん速い! まるで『スペオペ』の2号機ノワールちゃんの精密射撃みたい!」


六女の彩咲(あやさき)絢金(あやか)が目を輝かせて拍手を送る。


「ふふ、伊達に生徒会副会長を務めていないわ。集中力と記憶力なら誰にも負けないわよ」


誇らしげに胸を張る月菜。

だが、僕の元へ札を戻しに来た際、彼女はみんなに見えない陰で、そっと僕の膝に自分の指先で「だいすき」とひらがなで文字を描いてきた。


「っ……!?」


僕が息をのんで見上げると、月菜はプイッと横を向いて知らん顔を決めている。けれど、その耳たぶは隠しきれないほど真っ赤になっていた。


(反則すぎる……! 後で二人きりになった時、絶対抱きしめ返してやる……!)


◇


「あ〜〜〜っ! あそんだあそんだ! めっちゃお腹空いた〜〜っ!」


かるた大会がひと段落し、長女の彩咲(あやさき)陽葵(ひまり)さんが、胸元の開いたニット姿でこたつに深々と沈み込んだ。


「ふぅ……かるたの応援だけで、エネルギーをたくさん消費しちゃったわ〜。誠くん、何か甘くて温かいおやつはあるかしら〜?」


「はい! もちろんです、陽葵さん! 冬休みの宿題スパートとカルタの疲れを癒やす、特製の『とろ〜り葛湯風・黒糖生姜あめ』を用意してありますよ!」


僕が台所から湯気の立ち上る湯飲みを運んでくると、五女の彩咲(あやさき)木乃香(このか)が眼鏡を輝かせて反応した。


「生姜に含まれるショウガオールは加熱することで血行を促進し、体温を上げる効果があるの。黒糖のミネラルと片栗粉のとろみが胃腸を優しく保護してくれるわね!」


「流石木乃香ちゃん! 大正解だよ。片栗粉でお手軽にとろみをつけることで、冷めにくく身体の芯から温まるんだ」


「とわも! ふーふーして飲むのー!」


末っ子の彩咲(あやさき)土和(とわ)が小さな両手で湯飲みを包み込み、美味しそうにゴクゴクと喉を鳴らす。


「美味しい……! 甘くて、生姜のピリッとしたアクセントが最高です。誠さん、生き返ります」


水樹も静かに目を細め、彩咲家のリビングは再び温かな幸福感で満たされた。


◇


一月三日の夜——。

楽しかった正月休みもいよいよ終わりを告げ、明日からは新学期(三学期)に向けた準備期間に入る。


リビングのテーブルには、灯華と絢金が積み上げた冬休みの宿題の山がそびえ立っていた。


「うぎゃぁぁぁあ!! 終わらない! 数学のワークが全然終わらないよ〜〜〜っ!」


「ウチも漢字ドリルが終わらん! 木乃香お姉ちゃん助けてー!」


頭を抱える二人に、木乃香と月菜が呆れたように溜め息をつく。


「もう……だから計画的にやりなさいって言ったでしょう? ほら、この方程式は公式に当てはめればすぐ解けるわよ」


「ウチ、公式とか無理ー! 誠お兄ちゃんのご飯食べたら頭良くなる薬とか作って〜!」


「はは、そんな薬はないけど、夜食に『頭が冴える夜食うどん』なら作れるよ。DHAが豊富なサバ缶と、卵のレシチンを効かせた特製うどんだよ」


僕が優しく笑うと、灯華と絢金は「誠お兄ちゃん神様〜〜っ!」と僕に抱きついてきた。


「こらっ! 二人とも、誠に抱きつかないのっ! ほら、サッサと宿題を終わらせなさいっ!」


真っ赤になって二人を引き剥がす月菜。

その賑やかな大騒ぎを見つめながら、陽葵さんがそっと僕の隣へ歩み寄ってきた。


「ふふ……誠くん。明日からはもうすぐ三学期ね〜」


「はい、陽葵さん。休みはあっという間ですね」


「ええ……。でもね、誠くんがいてくれるから、私、三学期も全然不安じゃないの。……妹たちも、月菜も……みんな成長して、すごく強くなったわ」


陽葵さんは優しく目を細め、月菜の後ろ姿を見つめた。


「今年も……この家と、あの子のことを……よろしくね、誠くん」


「はい! 任せてください、陽葵さん!」


僕は強く頷き、エプロンの紐を結び直した。


お正月が明け、季節は着実に春へと向かって動き始める。

三学期のスタート、そしてその先に待つバレンタインや新学年、そして秋の大きな行事へ向けて——。


僕と七人姉妹の、かけがえのない日々は、ますます賑やかに、そして甘く紡がれていくのだった。


---


【本日のお世話係メモ:家庭で役立つ豆知識 54】

『冬の風邪予防&勉強のお供!片栗粉で超簡単「とろ〜り黒糖生姜葛湯(くずゆ)」ハック』

寒い冬の夜や、勉強・仕事の合間に無性に飲みたくなる「温かい飲み物」。市販の葛湯を買わなくても、家にある材料で数十秒で料亭風の絶品葛湯が作れます!


① マグカップに「水(150ml)」「黒糖(または砂糖・大さじ1)」「チューブ生姜(1〜2cm)」を入れる!

② そこに「片栗粉(小さじ1.5)」を加えて、よく混ぜ溶かす!

③ 600Wの電子レンジで「約1分〜1分20秒」加熱し、一度取り出してスプーンでしっかり混ぜるだけ!


★ここがポイント!:片栗粉を「加熱する前」によく水に溶かしておくことで、ダマにならずに透明感のある「とろ〜り絶品葛湯」に仕上がります! 生姜の血行促進と黒糖の持続的な糖分補給で、冷え性改善&勉強の集中力アップに最高ですよ!

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