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家事壊滅な7人姉妹のお世話係になりました  作者: 三日月
第一部⑤:新春の旋律と、秘密の初々しい二人
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第50話:静寂の境内に、二人の初祈願

「「「あけましておめでとうーーーっ!!!!」」」


新年のカウントダウンとともに、リビング中に弾けた歓声とクラッカーの音。

彩咲(あやさき)家のこたつを囲み、賑やかな乾杯と『スペオペ』最終回の余韻に浸る姉妹たちの笑顔が、温かな部屋の明かりに照らされていた。


「ふぅ〜! 新しい年が来ちゃったね〜! 誠くん、今年も彩咲家をよろしくね〜!」


長女の彩咲(あやさき)陽葵(ひまり)さんが、胸元のゆるいニット姿でぽわんと微笑み、みかんを手に持ちながら乾杯の音頭を取る。


「はい! 陽葵さん、今年も全力でお世話させていただきます!」


僕——浅比 誠(あさひ まこと)が笑顔で答えると、三女の彩咲(あやさき)灯華(とうか)と六女の彩咲(あやさき)絢金(あやか)が、こたつの中で足をバタバタさせて盛り上がった。


「アタシ、初夢で『スペオペ』の3号機シアンちゃんと共演する夢見たいな〜!」

「ウチは絶対、誠お兄ちゃんが特大お肉焼いてくれる夢見るー!」


「……初夢は元旦の夜に見るものです。ですが、気持ちは分かります」


四女の彩咲(あやさき)水樹(みずき)が静かに突っ込みを入れ、五女の彩咲(あやさき)木乃香(このか)が手帳を閉じながらクスリと笑った。


そんな賑やかな喧騒の中、僕の隣に座っていた彩咲(あやさき)月菜(るな)が、こたつの下でそっと僕の足に自分の爪先を擦りつけてきた。


(……誠、そろそろ……)


視線だけで送られてくる、秘密のサイン。

私服の上にシックなコートを羽織り、パステルブルーのマフラーを首元に巻いた月菜の頬は、ほんのり桃色に染まっている。


僕は立ち上がり、コップを片付けながら自然な動作で声をかけた。


「あ、みんな。ちょっと近所の地神社まで、代表して初詣の様子を見に行ってくるね。混み具合を見て、明日の昼間にみんなで行く時の参考にしようと思うんだ」


「え〜? 誠お兄ちゃん、もう行くの〜? 寒くない〜?」


「ふふ、大丈夫だよ。あ、月菜も荷物持ちでついてきてくれる?」


「ええ……。長女と次女の代表として、お姉ちゃんの代わりに私がついていくわ。……陽葵お姉ちゃん、いいかしら?」


月菜が上品な仕草で陽葵さんを見つめると、陽葵さんは全てをお見通しのような、どこか深みのある優しい笑顔を咲かせた。


「ふふ……ええ、もちろんよ〜。寒そうだから、二人ともしっかり手を取り合って……風邪引かないように行ってらっしゃいね〜」


「「っ……!?」」


一瞬ドクンと心臓が跳ね上がったが、僕と月菜は慌ててお辞儀をして玄関へと向かった。


◇


ギシ……と静かな夜の冷気が、玄関のドアを開けた瞬間にはだかってくる。


「ふぅ……! 寒い……っ!」


「静かに、月菜。妹たちに気づかれちゃうよ」


カチャリと鍵を閉め、屋敷の門を出た瞬間、僕たちは顔を見合わせて小さく吐息を漏らした。


静まり返った新年の街並み。

街灯の明かりが、しんしんと降り積もる冬の冷気を淡く照らし出している。


「……ふふ」


「ん? 月菜、どうしたの?」


隣を歩く月菜が、マフラーに口元を埋めながらクスッと可憐に笑った。


「ううん……なんだか、本当に『内緒のデート』みたいだなって思って……。……ほら、手」


月菜はコートのポケットから手を取り出すと、自分から僕の右手に自分の左手をギュッと重ね合わせてきた。


指と指が絡み合う『恋人繋ぎ』。

冷え切っていた空気が一瞬で吹き飛ぶほど、手のひらから伝わる熱が僕の全身を駆け巡った。


「月菜……自分から手を繋いでくれるなんて、珍しいね」


「っ……! な、何よっ! 約束したでしょ!? 『二人きりの時は甘える』って……っ! 私なりに一生懸命頑張ってるんだから、からかわないでよ……バカ誠……っ!」


真っ赤になって照れる月菜。

そのツンとした表情の中にある、溢れんばかりの愛おしさに胸が締め付けられる。


「ごめんごめん。……すっごく嬉しいよ、月菜」


「……本当……? ……なら、いいけど……」


繋いだ手に少しだけギュッと力を込め、僕たちは深夜の参道へと歩みを進めた。


◇


徒歩十数分。小高い丘の上に鎮座する境内に到着すると、境内はかがり火の赤い炎と、初詣客の静かな賑わいに包まれていた。


「わあ……すごい綺麗……。かがり火の光が、雪に反射して幻想的ね……」


月菜が目を輝かせて境内を見渡す。


僕たちは手水舎で清めた後、拝殿の前へと向かった。

賽銭箱にお賽銭を投げ入れ、カラコロと鈴を鳴らす。


二礼、二拍手、一礼——。


隣で月菜が静かに目を閉じ、長いまつ毛を揺らしながら真剣にお祈りを捧げている。

その横顔は、神聖な神社の境内に咲いた一輪の美しい花のように儚く、そして美しかった。


(僕のお願いごとは……ひとつだけだ)


『彩咲家のみんなが、今年も一年、笑顔で幸せに過ごせますように。……そして、僕の隣にいる月菜と、ずっと一緒にいられますように』


深く頭を下げ、お祈りを終えて目を開けると、月菜もパッと目を開けて僕を見つめていた。


「月菜、何をお願いしたの?」


「えっ……? そ、それは……言ったら叶わなくなっちゃうでしょっ……!」


顔を赤くして目を泳がせる月菜。けれど、彼女の視線はまっすぐに僕の瞳をとらえていた。


「でも……半分だけ教えてあげるわ。……『今年も誠の美味しいご飯がたくさん食べられますように』って……お願いしたの」


「はは、それなら神様にお願いしなくても、僕が毎日いくらでも作るよ」


「……もう、そういうところよ、誠」


月菜は呆れたように息を吐いたが、その瞳には甘い熱が籠もっていた。


ふと、境内のかがり火から離れた大きな御神木の陰へ、月菜が僕の手を引いて歩き出した。


「月菜……? こっちは暗いよ?」


御神木の太い幹の陰に入ると、周りの喧騒が遠のき、二人だけの静寂が訪れた。


月菜はくるりと振り返り、僕のコートの胸元をキュッと両手で掴んだ。


「誠……」


「月菜……?」


「あのね……本当のお願いごとは……『ずっと、誠の特別な一人でいられますように』って……祈ったの……っ」


震える声で紡がれた、月菜の本音。

マフラーの隙間から覗く真っ赤な頬と、潤んだ瞳。


「お世話係と令嬢じゃなくて……妹たちのお姉ちゃんとしてじゃなくて……ただの『月菜』として……誠に愛されたい……っ」


(……だめだ、もう我慢できない……!)


胸の奥から溢れ出す愛おしさが爆発し、僕は月菜の華奢な腰を抱き寄せ、その柔らかい唇へそっと自分の唇を重ね合わせた。


「ん……っ!?」


冷えた夜空の下で重ね合わされた、甘く温かな感触。

か細い悲鳴を上げた月菜だったが、すぐに僕の首に細い腕を回し、身を委ねるように背中を預けてきた。


かがり火の揺らめく光が、御神木の陰で静かに重なり合う二人の影を優しく照らし出す。


「……んっ……ふぁ……っ」


ゆっくりと唇を離すと、月菜は顔を真っ赤にして息を荒げ、僕の胸に顔を埋めた。


「……バカ……。こんなところで……急にキスするなんて……っ」


「ごめん……月菜が可愛すぎて、止められなかった」


「っ〜〜〜〜っ! 恥ずかしすぎて爆発しそう……っ!」


胸をぽかぽかと叩いてくる月菜。

けれど、その表情は心底幸せそうで、僕の手を二度と離さないと言わんばかりに固く握りしめていた。


「月菜……あけましておめでとう。今年も、ずっと君の側にいるよ」


「……うん……っ! あけましておめでとう……誠……! 私を……ずっと離さないでね……っ!」


新年の夜空に、二人の密やかな誓いが優しく溶けていく。


壊滅寸前だったあの屋敷から始まった僕たちの物語は、新しい年の始まりとともに、より深く、甘く、揺るぎない絆となって、未来へと紡がれていくのだった。


---


【本日のお世話係メモ:家庭で役立つ豆知識 50】

『初詣の寒さ対策!「使い捨てカイロ」を貼るべき「神スポット」3選!』

新年の初詣や冬のお出かけ、カイロをどこに貼れば一番身体が温まるか知っていますか?

「ただポケットに入れるだけ」よりも効果が何倍も跳ね上がる、医学的にも理にかなった「神スポット」をご紹介します!


① 『風門(ふうもん)』(首の後ろ・背中の上部):肩甲骨の間に貼ることで、全身へ繋がる太い血管が温まり、上半身全体がポカポカになります!

② 『命門(めいもん)』(腰の中央・おへその真裏):内臓の冷えを防ぎ、寒さによる腰痛や下半身の冷えを劇的に改善します!

③ 『気海(きかい)』(おへそから指2本分下):全身の血流を促進し、冷え性予防に最高の効果を発揮します!


★注意点:肌に直接貼らず、必ず衣類の上から貼り、低温火傷に注意してくださいね!

これで極寒の初詣も暖かく快適に過ごせますよ!

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