第3話:暴走する双子と、秘められた隠れ積極性
「――ほら、灯華、水樹! 朝ご飯冷めるぞ、早く席に着け!」
俺、浅比誠の呼びかけに、階段からパタパタと賑やかな足音が響いてきた。
「はーい! 誠クン、おはようっ!」
真っ先に飛び出してきた三女の灯華は、制服のリボンを少し崩したギャル風で、挨拶代わりにいきなり俺の背中に飛びついてきた。
「ぐおっ!? ちょっと待て灯華、包丁持ってるから危ないって!」
「えへへ〜、誠クン背中温かい〜。朝からいい匂いさせてずるいぞ〜」
二の腕越しに伝わる柔らかい感触。無防備にすり寄ってくる灯華の熱気に、朝から俺の理性が削られていく。
「……灯華、ずるい。私も、おはようの密着する」
その直後、静かな足取りで現れた四女の水樹が、無言で俺の右腕をぎゅっと抱きかかえてきた。
黒髪の似合うおとなしい図書委員風の彼女だが、行動の積極性は姉の灯華以上だ。
「おいおい、お前ら二人して……! 俺は朝食の配膳中なんだから、離れなさい!」
「え〜? だって誠クン、すごく居心地いいんだもん。なぁ、水樹?」
「……うん。誠の匂い、落ち着く」
「お前らなぁ……」
その光景をダイニングの入口から目撃した次女の月菜が、手に持っていたお茶碗を落としそうになりながら悲鳴を上げた。
「――っ! ちょっと、灯華! 水樹! 朝から浅比くんに何にくっついてるのよ! 離れなさい!」
顔を真っ赤にした月菜が慌てて駆け寄ってきて、双子を俺から引き剥がそうとする。
「え〜? 月菜お姉ちゃん、嫉妬〜?」
「し、嫉妬なんてしてないわよ! ただ破廉恥だから注意してるだけ!」
「……月菜お姉ちゃん、顔、真っ赤」
「赤くない! これは朝の気温が高いから!」
必死に否定する月菜だが、その可愛らしいな動揺は誰の目から見ても明らかだった。
俺は苦笑しつつ、焼き上がった出汁巻き卵と香ばしい鮭の塩焼きを食卓の中央に並べた。
「ほら、喧嘩してないで座った座った。陽葵さんも、木乃香も絢金も土和も揃ったな?」
食卓を囲む七人姉妹。
一口出汁巻き卵を口に含んだ瞬間、全員の顔が幸福感でとろけた。
「んんっ……! なにこれ、お出汁が溢れてくる……! 誠くん、お店開けるよ……!」
長女の陽葵さんが目を輝かせ、小さく頬を染める。
「ふ、ふん……まあ、出汁の塩梅は合格点ね……」
強がりながらも、月菜のスプーンは止まらない。
賑やかな朝食が終わり、学校へ向かう月菜と陽葵さん、そして中学や小学校へと向かう妹たちを「いってらっしゃい」と見送る。
嵐の去った一軒家で、俺は腕を組んでリビングを見回した。
「よし……次は頑固な油汚れと水回りの攻略だな!」
お世話係の本領発揮は、ここからだ。
【お世話係誠の!生活豆知識のコーナー! #3】
「ギトギトの油汚れをスッキリ落とす裏ワザ!」
フライパンやコンロにこびりついたしつこい油汚れには、『重曹+ぬるま湯』のペーストが効果的!油汚れは酸性なので、弱アルカリ性の重曹を塗りつけて15分ほど放置するだけで、油が乳化して軽く拭き取るだけでツルンと落ちますよ!洗剤の節約にもなって一石二鳥です!
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