第9話:嵐の土曜夜と、ギャル妹の危険すぎる急接近
「――ふぅ! 今日も特製夕飯は大成功だったな!」
土曜日の夜、七人姉妹全員のお腹を満たし、大量の食器洗いを終えた俺――浅比誠は、脱衣所の洗濯機の前で息をついていた。
買い出しで仕入れた食材を使った『特製ハンバーグと具だくさん具材の洋風フルコース』は、妹たちに大好評だった。
だが、お世話係の仕事はこれで終わりではない。
夜の第二陣となる洗濯物を回し終え、洗面台の鏡で顔を洗おうとした――その時だった。
「〜♪ あ〜、お風呂上がりのアイス最高〜」
パタン、と脱衣所のドアが開き、湯気とともに三女の彩咲灯華が入ってきた。
中学二年生――ギャル風の派手なルックスと明るい性格で、クラスでも中心的な存在の彼女。
だが、現在の彼女の姿に、俺の思考回路は瞬時にフリーズした。
「――っ!?? 灯華!? お前、その格好はなんだ!?」
目の前に立つ灯華は、お風呂上がりそのままの姿だった。
頭にバスタオルを巻き、身体に纏っているのは胸元の上でキュッと結んだ一枚のバスタオルのみ。
湯上がりのほてった肌からは白い湯気が立ち上り、濡れた鎖骨や太ももが露わになっている。
「え〜? 何って、お風呂上がりだけど? あ、誠クン洗濯してくれてたの? ありがと〜!」
「ありがと〜、じゃなくて! 服を着ろ服を! ここは家だけど俺っていう男子がいるんだぞ!?」
「えー、別にいいじゃん! 誠クンは私達のお世話係なんだし〜」
危険信号を察知して背を向けようとする俺だが、灯華は悪びれる様子もなく、ヘラヘラと笑いながら歩み寄ってきた。
そして――
「ねえねえ、誠クン。髪の毛乾かしてくれない? アタシ自分でやるの面倒くって〜」
「自分でやれ! というか早く部屋に行って服を着ろ!」
「え〜、ケチ〜。じゃあ、こうしちゃおっと!」
――ぎゅむっ。
「〜〜〜っ!?」
背後から、灯華が躊躇なく俺の背中に抱きついてきた。
バスタオル一枚越しに伝わる、圧倒的な柔らかさと熱気。
濡れた髪のフルーティーな香りが鼻腔を刺激し、俺の理性が壊滅的な音を立てて軋んだ。
「ちょっ、灯華! 離れろ! バスタオル解けるって!」
「あはは! 誠クン、耳たぶ真っ赤! 超ウケるんだけど〜!」
「ウケてる場合か! 俺だって健全な男子高校生なんだぞ!」
必死に灯華の腕を外そうと格闘していると、最悪のタイミングで脱衣所のドアが激しく開いた。
「――ちょっと灯華! ドライヤー借りようと思ったら……って、はぁぁぁ!?」
立っていたのは、次女の月菜だった。
俺の背中にバスタオル一枚で密着している灯華と、顔を真っ赤にして汗を流している俺。
その決定的な光景を目撃した月菜の顔が、一瞬で般若のように般若化する。
「あ、月菜お姉ちゃん、おは〜」
「おは〜、じゃないわよ灯華ぁぁぁ! な、何させてんのよ浅比くん! この破廉恥! スケベ! 絶滅しなさい!」
「俺が襲われた側だろぉぉぉ!?」
月菜の投げつけた洗面器が俺の顔面を直撃し、夜の彩咲家に俺の悲鳴が虚しく響き渡るのだった。
【お世話係誠の!生活豆知識のコーナー! #9】
「ドライヤーの時間を半分に!爆速で髪を乾かす裏ワザ」
お風呂上がりに髪を早く乾かしたい時は、『乾いたバスタオルを頭からかぶった状態で、タオルの上からドライヤーをあてる』のが超おすすめ!タオルが髪の水分を吸い上げつつ、ドライヤーの熱でタオル内の湿気が一気に蒸発するため、普通に乾かすより半分の時間でサラサラになりますよ!夜の時短にぜひ!
書いた身だがちょっと可哀想
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