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三原色信仰の国を追われた無色の花嫁は、帝国で世界を彩る   作者: りっちょまん


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72.陽光の裁き

まろび出たのは、国王陛下、ロルモン公爵、それにアドリアンだった。


「なんの真似ですか」


前に立つ帝王陛下が、薄笑いしている。恐ろしい…。


「す、すまなかった。ルナリス様、あ、いえ、ロルモン公爵令嬢。あのような、あのようなこと、知らなんだ」


「ルナリス、この父を許してくれるだろう。昔から、お前は気立ての良い優しい娘だったな。な、この通りだ。すまない。頼む、フェリシーも悲しむ。許してくれ」


「ルナリス、昔のことは水に流して、もう一度やり直さないか。まさかこれほど素晴らしい力を持っていたなんて。一言でも言ってくれたら、フェリシーなんかに乗り換えなかったのに。水臭いじゃないか。なぁ、もう一度、僕とやり直そう。隣国より、生まれた国のほうがいいだろう」


(——ああ。なんて自分本位で愚かしいのかしら。私の気持ちなど、一つも理解していない。これでも一国の王と公爵、そして侯爵令息なのかしら)


「…なんと、なんと醜いのだ、貴殿らは。それでも一国を統べる王と貴族なのか。信じられん。こんなにも厚顔無恥とは、同じ人間として、恥ずかしい。私のルナリスを、貴様らの思う通りになど、させるものかっ!」


 私が口を開く前に、レオ様から怒りに富んだ非難の言葉が発せられた。大広間が震えるのではないかと思われるほどの、覇気を孕んでいる。帝妃陛下は、鉄扇で口元を覆われている。美しい顔なのに、血管が青く浮き上がってしまわれて。恐ろしくも美しい。


「ははは、我が息子の言う通りだ。無色の乙女の言葉を遮る罪は重い。黙って最後まで聞くがよい」


 目線で譲られたのを感じ、改めて口を開いた。


「裁きを下すのは、私ではありません。皆さんの前に降り注ぐ、この尊い陽光に下していただきます」


 そう私が言葉にすると、大広間全体に陽光が降り注いだ。天窓からだけではない。屋根がある場所からも、目が開けられないほどの眩さだ。突き刺すような鋭さを持ち、影が一つもできないくらいに、光の奔流に包まれた。


その中に、一人の姿が朧げに見える。黄金の髪に、意思の強い瞳。ふわふわと向こうが透けるような、実体のないような、あの時の緑の淑女その人だ。


「また会ったわね。ルナリス」


「あ、貴女は、初代帝妃様、ですね」


「あら。よくわかりましたね」


ゆったりと微笑むその姿は、先祖の本に書かれた姿そのままだった。だが、色が違う。黄金色になったその理由は…


「ええ。わたくしの死後、陽光を全身に一心に浴び続けて、同じ黄金の色を授かりました。もう人間の乙女ではなく、日の光とわたくしは一心同体なのですよ」


 ふわふわと楽しそうに笑うこの人は、一見とても優しく見える。けれども、もう人間ではない、同じような感情を期待してはいけないということ。


「そうなのですね、このようなことでお手を煩わせてしまい、申し訳ございません」


「いいのよ、わたくし、この国の人間にはずっと怒りを感じているの」


 そう言った後の初代帝妃様は、瞳孔が縦に裂け、ぞっとする雰囲気を醸し出した。怒っている。それはなぜ?先代の無色の乙女を殺されたから。


(——怖い。あの瞳を向けられる相手が、私でなくてよかった)


 痛いくらいの日差しに目を傷めた人々が、涙を流している。それは、よく見ると人によって程度が違うらしい。私を中傷したり、傷つけたりしなかった人ほど、何も起きていない。逆に、暗殺者を差し向けた愚か者三人は、血の涙を流している。


「おや、そなたらが一番、いとし子を侮辱し、愚弄したようね」


 三人の前に、初代帝妃様が立ち止まった。


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