表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三原色信仰の国を追われた無色の花嫁は、帝国で世界を彩る   作者: りっちょまん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/84

【閑話】 悪い虫を潰す方法

「ルナリス様、本日の報告書です」


ハルト卿とライト卿が、この2週間毎日ビビについての報告をあげてくれる。謹慎の三日はかなり荒れていたみたい。遠まわしに書かれた報告書をみて、苦笑を禁じ得なかった。


「なぜこんな目にあっているのか、わかっていないのよね」


ぽつりと漏らすと、ハルト卿がなんともいえない表情を浮かべた。


「我々に対しても、まぁ…それなりな態度でしたね」


ライト卿もコクリと頷いた。


「それなり、ね」


彼らに当たれば、私の耳に入るとわかっているはずなのに。どこまで愚かしいのかしら。


「ルナリス様、僭越ながら申し上げます。あのような者を投獄せず、お傍に置くのは、いかがなものかと思ってしまうのですが」


「そうよね、そう見えるわよね」


彼らにソファを勧め、彼らの対面に座ると、これは内密な話よ、と告げて話した。


「帝妃様からね、宿題があるの。1つ目、新しく雇用を生み出す何かをすること。これはいいのよ、商会を作ることになったから。2つ目、自分の馬を決めること。これもいいわね。幸運にもディヴァーノをもらい受けることができたもの。」


ここまでは彼らも静かに聞いてくれた。


「3つ目が私には一番難しかった。悪い虫を潰すこと。でもね、私の周りには、貴方たちを始めとして、私に対してよくしてくれる人ばかりだった。でも、ビビが側近で入った時に思ったのよ。あぁ、この子はその対象になりえるわって。」


ここでニコリと微笑んだ。


「コスタンツァやベルナールにも当たりが強かったし、私に対して敵愾心があったことも知ってたの。マーサに対しての未払いは偶然ね。そのうち問題を起こすだろうことが分かっていたから、遠くない未来に罰するのは決めていたわ。」


キティがワゴンを引いて入ってきた。最近お気に入りのハーブティーを入れてくれて、少し気が休まるわ。


「悪い虫を潰すって、二通り読み取れると思ったの。文字通り殺してしまうか、悪い部分だけを潰してしまうか、ね。二人には、あの子がどうしようもない子に見えるでしょう。」


二人とも、肯定も否定もしなかった。でもそれがかえって、気持ちを現わしている。


「でもね、育った環境があの子をそうさせたのよ。だから、罰と称してお針子部屋に送り込んだの。ビビは、きっと改心して戻ってきてくれると、信じてるわ。これでダメなら、牢獄に入れる。それは約束するわ」


「そこまでお考えでしたか。浅慮で申し訳ございませんでした」


「いいえ、いいのよ。私も何も言わなかったしね」


ここまで聞いた二人は、納得したのか、ベルナールと入れ替わりで、一礼して退室していった。


「ベルナール、頼んでいたことは大丈夫かしら」


「もちろんです、ルナリス様。給金三割増しに夕飯メニューの追加、ですね。問題なく」


ソファから立ち上がると、窓から外を見た。馬で行く、ライト卿とハルト卿の後ろ姿が見える。


(——お針子部屋の皆に、迷惑料を届けたの。迷惑をかけられて、何もなしじゃ、やる気も出ないものね)


「ありがとう。コスタンツァのほうは?」


「そちらも問題ないかと」


王城のお針子部屋は、王城全ての人間の衣装を作っている。両陛下、騎士、侍従に御者、料理人に至るまで。服が破れれば修繕を、新しく働くものがいれば採寸を。全部署の人間が出入りする、数少ないうちの一つである。


(——私の噂が広がればいい。)


第一皇子殿下の婚約者は、慈悲深い。粗相をした側近を切り捨てず、教育し直し、傍に置く懐の広さを。そして、迷惑料を支払う、気遣いを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ