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三原色信仰の国を追われた無色の花嫁は、帝国で世界を彩る   作者: りっちょまん


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40.優雅なお茶会と、静かな宣戦布告

初めてイラストをいれてみました。いかがでしょうか。

待ちに待ったお茶会の日、控室で、陛下が落ち着きなく歩き回っていた。まだ約束の刻限まで40分もある。


「仕事していても気が散るし、早目に来てもそわそわするだけでダメだな」


どうにもお尻がむずがゆく落ち着かないそう。


(——もうあの人はだめだわ)


そう思い、最終チェックに取り掛かった。初めてルナリスちゃんに会うのだと思うと、直前までコーディネートに迷い、侍女達を翻弄してしまったわ。許してちょうだいね。


今日のために取り寄せた茶や菓子、食器に至るまで、人任せにはできなかった。本来侍女長に任せるべき仕事にも、自ら時間を費やしてしまった。本来なら、諫められる場面だけれど、今日にかける私の思いを皆が知っているだけに、誰にも止められなかった。


(——立場が上の者が下の者の仕事を取るのは望ましくないのはわかっているの。だけど今日だけは大目に見てほしいわ。後で係の者には付け届けをしましょう)


チェック中に入室の許可を求める声がし、誰かと思えば陛下で。


「あら、陛下も緊張なさることがあるのですね」


そう言う私もやはり緊張しているらしい。手に汗が浮かんでしまう。今日は二人そろってメインカラーをネイビー&ゴールドにし、アクセントカラーでシルバーを取り入れたのはルナリスちゃんをイメージしての事。


気を紛らわせるために二人で談笑をしていると再度入室を求める声がかかり、許可すると、お客様が到着されました、とのことだった。


(——いよいよね)


バンケッティング・ホールに陛下と入室すると、なるほど、レオとルナリス嬢がそれぞれに礼をし、待っていた。


「堅苦しい挨拶は不要だ。さぁ二人とも、顔をあげなさい」


挿絵(By みてみん)


陛下の声掛けで彼女がゆっくりと顔をあげたとき、近衛騎士だけでなく、控えていた侍女たちまでが僅かにざわめいた。


(——なるほど、レオが惚れこむのもわかるかもしれないわ)


ゆるくまとめたハーフアップを編み込み、控えめなパールとリボンで上品にまとめている。

Aラインのデイドレスはアイボリーとシルバーグレーでまとめ彼女によく似合っている。

高すぎないスタンドカラーとレースで肌見せは抑え、光を含んだ布地をたっぷりと使い、軽やかに。

ウエストは、サッシュベルトで引き締めている。宝石は小粒のもののみのようで、その控えめさがかわいらしい。差し色はペールグリーンのようだ。


(——我が国の国旗のカラーね)


この国を知ろうとしてくれている、そのことがわかって嬉しさが募った。

そしてなにより彼女自身が、色を持たないはずなのに、そこに光が降っているかのように輝いて見えた。とても可憐に見え、隣に立つレオは、彼女を引き立てるように、揃いの衣装を纏っている。

私の視線に気づいたのか、誇らしそうに破顔した。


「…さぁ。立ち話もなんだし、かけなさい」


隣に立つ陛下も、しばし言葉が出ない様子で、少し間が開いてしまったわ。


「両陛下、彼女がルナリス・ド・ロルモン嬢です。」


彼女が深く会釈した。所作も美しいわ。


「ルナリスちゃん、今日は無茶に付き合わせてすまなかった。息子から苦情をもらったよ」


「ええ、本当に。陛下が無理を言って申し訳なかったわ」


そう声をかけると、ガチガチに緊張していたらしいルナリスちゃんが、ようやく少し微笑んでくれた。


「とんでもないことでございます。帝妃陛下。両陛下にお目にかかれて光栄でございます」


(——なんてかわいらしいの。この子が私の娘になるのね)


ティーセットと三段重ねのティースタンドを運ばせると、人払いをし、お茶を一口飲むと、陛下が切り出した。


「ルナリス嬢、この度は我が国内での一件、私の配慮が足りず誠に申し訳なかった。これは必ず別の形で埋め合わせさせてもらいたい。」


(——もうすでに動いてるじゃないの)


そう思ったが、おくびにも出さずに私も続けた。


「私からも。もっと早く王家が後ろ盾になるべきだったと反省しています。今日からは全面的に私を筆頭に後ろ盾になるから、安心して頂戴ね」


そういうと、ルナリスちゃんが目に見えて狼狽えた様子で。それもそうよね。王族が頭を下げるなんて、普通じゃないもの。


「滅相もございません。両陛下がお心に留めてくださっただけで、私は十分に救われました。それでその、後ろ盾というのは…」


「今日からルナリスちゃんは、セレニータ帝国が全面的に守護する人になったってことよ。詳しくはレオに聞くといいわ。さぁ、堅苦しい雰囲気はおしまい。せっかくのお茶が冷めてしまうわ。いただきましょう」


そういうと、彼女は素直に言葉を飲み込み、そこから先素晴らしいお茶のひと時を過ごすことができた。彼女の好きなものリストの更新をしなければね。


そうそう、彼女は気づかなかったみたいだけれど、セレニータ帝国が全面的に守護する人って、基本的に王族以外いないのよ。


(——それは、王族に与えられるのと同等の扱い。つまり、この子はもう王族として扱われる立場にあるということ。)


ふふふふ。私を筆頭にしたから、いい名目ができたわ。私もカラーリスにやり返さなくちゃ。でもこっそり、こっそりよ。彼女に嫌われたり、引かれたくはないものね。あの子を手放したことが、どれほどの愚かな選択だったのか。いずれ、嫌でも思い知ることになるでしょう。


お茶会の終わりに見送りにでた私は、人知れず不敵な笑みを浮かべたのだった。

さて、どこまでやってやろうかしら。

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