中隊長の選択
「ぼくが信号したらこれを上げろ。」
「あ、分かったよ。銃をこっちに?」
「地雷屋がまだ生きているから気をつけろ。」
彼女が首を振ったあとぼくは中隊の口笛信号をした。また地雷屋の相棒がこっちにでたらめに威嚇射撃をしたが、この射撃がやつが探知機がない事をこっちに知らせただけだ。
「おい、中隊長!東南の風が吹いている!東南の風が吹いている!」
ぼくはハスタとナミを後ろに残して欄干の下を這って、中隊長がいるB面の近く場所まで来た。長のやつらは爆弾のせいでナミとマリアがいるどころに来ないはずだ。
ぼくはまた深呼吸をした後、マリアに目で信号をくれた。マリアとぼくの目が合って、彼女は木版を
叩くながら頭の上に上げた。
「くそやろうが!何をしている!全部、撃って殺すから!」
え?自動小銃の銃弾が木版をぶっ壊したが、ぼくは自動小銃を持っているやつの声でビックリしてなんにも出来なかった。
「太田?」
太田の声は一生忘れない。あの「くそやろう」って話は太田が、事がうまく出来ない時に常に言った話だから、ぼくはもっとよく記憶している。
森と出会ってずっと太田がどこにいるのか気にしなかった。
新人入りのベルが鳴いた時、それを無視したのも太田を追うためだったのに、肝心などころで太田の存在すら忘れてしまった。
まさか、あの太田がこの建物の最強の兵器である自動小銃をもっているとはな!
なんて事だ。太田は19層の勝利者でもないし、ほとんどの重要な戦争の局面ではずっと逃げたやつだ。やつが何故このプラス1層に先にたどり着いて、ぼくらを防いでいるの?
え?そして、地雷屋とはどうやって組んで、どうやってパートナになったんだ?
ぼくはふっと太田のアイディを思い出した。他の人にはアイディが一つずつしかないのに、なぜやつはアイディが二つもらったのかよ?
そして、なぜやつは「マイダス」のアイディを落したのか?ぼくはマイダスのアイディを見たとき、やつが殺されたんじゃないかと心配した。殺される前には絶対にアイディを落すなんであり得ないから。
まさか、あれは単純な紛失じゃなく「取引」だったのかよ!自分のアイディを主催側に売って?そして、必要ない物になって捨てただと?
自分のアイディを取引する?
しかし、それが出来ないってどこかでルールの本があるでもあるまいし、主催側はなんのルールも教えなかった。
ゼロ層にある赤い矢印以外にはこの建物でルールなんかいない。
ダウン。
ぼくはあの矢印を思い出して直感的に気づいた。参加者たちには、下に降りるの拒否するゲーム以外には何でもできるんじゃないのか?
実際に主催側は参加者たちがどんな選択をするのか全然関わらなかった。ぼくだって宿主なのに生きているんじゃない?
「太田やつは自分のアイディで一体何を・・・・。」
ぼくはその答えもすぐ気づいた。
「あんた!何をしているのよ!」
あ!しまった!ぼくが太田と取引に考えている間、なんと長の負傷兵が死体を切り抜けてマリアとナミに突撃した。
「こいつ!機関銃はない!男の方もない!女子だけだ!」
負傷兵は胸を爆弾でやられてもうすぐ死ぬ運命だった。多分、サウナで出会ったおじさんのように何らかの理由で突撃を自ら願っただろう!ぼくが銃をそっちに回して引金を引く寸前だった。
負傷兵の頭が銃弾で砕けられて、頭の後ろに脳水と肉片が飛び散った。マリアのすぐ側までやってきたやつはC面の下から飛んできた銃弾に倒れた。
負傷兵が倒されたあと、負傷兵を後に従っていたやつらはその場所で身をかがめた。ぼくはすぐ三八式の銃弾を下の階の中隊長に投げた。
「東南の風だ!」
マリアがいる場所からここまでも銃を回すのはけっこう手ごわい。自動小銃の銃口が回っている間、ぼくは全身全力で中隊長の方へ銃弾を投げた。
さっき手榴弾が虚空を飛んだように金色の銃弾が暗い空間を宇宙船のように飛んでマネキンに当たった。落ちた銃弾を黄色いリボンを結んでいるももりんが拾ってあげた。
この短い瞬間ももりんとぼくの目が合った。彼女は上の層で分かれた時より、もっとハスタのような顔をしている。
この建物には敗けないって、あの目は言っているようだ。
中隊の恐怖で降伏した彼女はもう一人の戦士になった。ももりんは銃弾をじゃんともらったと、ぼくに見せるようにそれを上げた。
「てめえ!何をしている!」
一歩遅く、自動小銃の銃口が中隊長に回ったか、ぼくはもうやつの姿を熱カメラで見ている。ぼくは作戦にこんな状況も計算に入れたんだ。
「太田アアアアアア!」
距離は30メートル。その30メートルの向うで太田の顔がぼくを見つめた。
どんな時にも忘れなかった顔だった。太田はあの顔でぼくを殴ってぼくを虐めた。その顔が今度はビックリして、自分が自殺に追い詰めた犠牲者の顔になった。
ぼくはニヤリと笑うながらやつに村田銃を照準した。
30メートル。
この建物の中でも銃で30メートル以上の距離を撃った経験はない。
けれど、いままで七発しか銃を撃つながら積った経験だと言えばいいかな?どう撃ってばいいのか感だけはある。ぼくは中指と薬指に予備弾を挟んだまま引金を引いた。
熱カメラで銃口からオレンジ色の火炎が出るのが見える。この瞬間もぼくには永遠のように感じられる。銃口から出てきた銃弾は熱カメラも映ることができない速度で30メートルの距離を走る。
そして。
「ぐあああっ!」
太田が急に銃口を回って、やつが撃った銃弾がぼくがいる場所まで飛び散ったが、やつが銃を撃つ前に太田は銃に撃たれた。
「くそやろう!くたばれ!」
何年間ずっと心のなかに積っていた気持が一気に爆発するように口から吐いた。
熱カメラでも太田がよろける姿が見えた。銃に撃たれた!
あの太田が!
ぼくの人生を支配してめちゃくちゃにさせたあの太田が!
D4の暴君が!
今ぼくの手にやられた!
今まで太田とやつの仲間にやられた「奴隷」たちの鬨の声がぼくの耳に聞こえるようだ!
自殺した同級生も。
殴られて前歯がなくなったあの人も。
親の店まで潰されて地元を離れた人も。
この瞬間だけは一気に「よくやった」とぼくに一斉に叫んでいるようだ。ぼくはテラスの欄干に立って太田にやられた人と共に喊声をした!
「どうだ!このやろオオオオオオオオオオオオ!」
しかし、やつを倒したと言う快感はすぐ消えた。ぼくはやつを倒したけど、それが致命傷ではないらしい!
「ちきしょう!このやろう!てめえは誰だ!なぜぼくの名前を知っている!」
熱カメラで映っているやつの姿を見てぼくも歯をくいしばった!やつは左手に銃を当たって柱に身を隠した。
一撃でやつを倒さなかった!
やつはまた生きていて逃げている!くそ!くそ!この位置では角度のせいで銃で狙えない!やつがいる場所は、このテラスからは2階の下だ!
「おい、中隊長!止めを刺せろ!」
それは言う必要もなかった。中隊長がいる場所からすぐ銃声が聞こえて、太田が逃げた方向で銃弾が飛び散った。ピインーと銃弾が弾けて飛ばされる音が聞こえた。くそ!今度も当たらなかったのか!
「鶏肋!自動小銃は下に逃げた!」
「分かった!橋を渡るから援護を頼む!」
中隊長からの返事はなかった。
「おい!中隊長!応答しろ!援護を頼む!橋を渡るには危険だ!」
返事はない。
くそ!まさか、裏切られた?!
中隊長に渡した銃弾はだった五発。中隊長も太田を撃ったから残ったのは四発。三八式の銃弾はもう十一発あるが、これ以上を中隊長に渡せたら中隊長がここを支配するかも知らないって判断だった。
四発。曖昧だな。実戦の経験がある中隊長には四発はぼくを殺すには十分かも知らない。
「ももりん!中隊長に伝え!今は休戦しろって!せめて!ここにいる女子たちの安全でも保障を願う!」
太田は逃げて中隊長はB面で、橋を狙う事ができる場所に隠れている。どうすればいい?今、このプラス1層の状況は「じゃんけん」をするようにお互い食って食われる状況だ。
ぼくからは直接に太田を狙う事ができない。中隊長は太田が逃げ込んだどころを狙う事ができるが、
上からのぼくの攻撃を心配しているはずだ。太田と中隊長は簡易グレネ-ドランチャの威力を見たはずだ。
「ももりん!君もぼくを裏切ったのか!ハスタを忘れたのか!」
ももりんにとって恩人はあのハスタだった。ハスタはももりんと分かれる時も「笑い顔」で彼女を見送った。ぼくは別論にしても、ももりんにハスタの遺言だけは伝えなきゃいけない。
「ハスタは言った!人を信じて1層まで降りるって!ぼくはももりん、あんたを信じている!ハスタと一緒に降りた道連れだったあんたを!」
ぼくはマリアとナミに手を振ってこっちにおいでって手振りをした。
「あ、あんた何を考えているのよ!」
「ナミ!マリア!ぼくが援護するから早く橋を渡れ!」
「橋を?」
「マリア!時間がない!長が来たらぼくらは危ない!」
「だって!」
「ぼくも中隊長を信じていない!しかし、ももりんはぼくの仲間だ!ぼくは彼女を信じている!」
マリアはぼくの目を見てやっと首を振った。
「わ、私もあんたを信じている。ナミ。いこう。」
「わ、分かりました!」
赤い橋は幅は思った通り狭い。1メートルほどの幅で一歩間違えたら下に落ちるはずだ。ここで見たら、サーカス空中ブランコの出発点に見える。彼女たちは空中ブランコを見せる踊り子ように赤い橋の上に立った。
「中隊長!裏切るならこっちからグレネ-ドランチャがあるから覚悟しろ!」
ぼくはやつに見せるようにプラスチックパイプを見せた。ただのパイプで人を脅すなんで子供の遊びのように見えるだろう。こんな子供の遊びに人の命が決定するからぼくは真面目になった。
ぼくは着ている半ズボンまで抜いて水で塗らした。マリアは橋の出発点でぼくを振り向いてなんかいった。
「あ、あんたは、恥ずかしくないのかよ?」
「ブラと胸をそんなに自慢する人には聞きたくない。」
「な、なんだよそれ?」
「殺されるより恥ずかしい方がよっぽどいいじゃない?そして、ほぼ裸でパンツしかないのに、女子
にこんなに人気あるとはな?建物の外では考えなかった事だ。」
マリアはぷっと笑って、ナミもついにわらった。
「援護するからさっさと行け!向うで待って!」
「分かったよ!」
マリアはナミと手を繋いで橋に一歩を出した。そして、待っていたようにB面から銃声が聞こえた。
「中隊長!」
胸の奥から熱いなんかがこみあげた。
中隊長は射撃をしている。
ぼくは熱カメラで中隊長がこっちを狙うどころを全部マークしたいた。中隊長が銃を撃つ前に、いや、やつがこっちに身の方向さえ向いたら殺すつもりだった。B面との距離はわずか10メートルほどだ。
30十メートルも命中したのにそれは楽勝だろう?ぼくだっていわなかったか、なんの策もなしにマリアとナミを渡るようにしたんじゃない。
しかし、中隊長を撃つ必要はなかった。
中隊長は銃を撃っている方向は、その方向はマリアとナミじゃなくて太田か消えたC面の方だった。
そして、C面に隠した太田からも中隊長の方へ銃を撃つようだ。自動小銃の声が響いても中隊長の射撃は止まらなかった。太田は橋に誰がいるか、分からなくて自分の身を守るのに専念したようだ。
中隊長はマリアとナミを援護するためにぼくがくれた五発の銃弾を全て撃つつもりだった。




