せめて
ぼくはどんどんやつらを「騙す」事が面白くなった。まるで子供を揶揄うようにやつらはぼくの「ワナ」に引っ掛かった。
ぼくはスロットマシンの後ろで「砲撃」を開始した。ラクロスやつらは中隊とハスタ組の戦闘を知らないので、やつらはきっとこれが中隊の激しい攻撃だと錯覚するはずだ。
ぼくは転がっているインテリア用の石像を上に飛ばした。石像は見事に上にある壁にとかんど食い込んだ。破片が飛び散ってラクロスやつら避ける姿が見えた。
「なに!」
「これは警告だ!これ以上、中隊の領域を狙ったらただでは措かない!」
「このくそったれが生意気もほどがある!ぶっ殺してやる!」
やつらがぼくが思った通り「餌」を喰らい付いた。ぼくはまた適当なものを飛ばしたあと、ハスタに囁いた。
「やつらが我らの「突撃隊」になる。やつらの力が我らの力になる。」
「何だよ。何を考えているの?」
「ぼくにいい手があるんだよ。」
ハスタは相変わらずぼくをあやしい目で見ている。
「まさか、騙して私とももりんを売るつもりなら許さないから。」
「何だよ、その刃物は。」
「私はいいけど、ももりんをやつらに渡すのは絶対許せない。」
「おい、お嬢さん。あんたらを売るなら、こんなに手間が掛る事をするはずがないんだよ。」
「どーちゃん、あんたを信じてもいい?」
ハスタはナイフをぼくに喉に差し付けて鋭い目でぼくを見つめている。
「どーちゃん、あんたを信じてもいいって問っているよ。」
「それはハスタ、あんたの選択だ。」
彼女の手は震えている。
前は中隊、後ろはあの疑問の集団。ぼくだと言っても誰も信じることは出来ない状況だ。
「ハスタ、毒を食らわば皿まで食えよ。」
ハスタの顔は実に変な表情になった。
「分かったわ。一度信じるなら最後まで信じる。」
「ならば、話は簡単だ。ここを脱出のが先決だ!]
ぼくはハスタと話をする途中でも石像の腕をやつらに飛ばした。しかし、ラクロスやつは半端じゃない。
全体的な雰囲気はやつとぼくが砲撃を取り交わす状況になった。お互い砲撃の脅威で下手には動く事が出来なかった。まるでタンクに乗って市街戦でもやっていると同じだ。ラクロスラケットから大きい石が飛んできて、スロットマシンの上端にぶっ飛ばされた。
777と「大当たり」だと書いていたパネルが粉粉になって、ももりんの方へばらばら落ちてももりんはほこりでこぼんとしわぶいた。
あっちもぼくがなげが石像で階段の装飾がまるで散弾銃のように破片が飛ばした。
「くわああああ!」
運がよかったのが?散弾銃ような破片で撃たれたやつらの何人が当時に悲鳴を上げた。
「このやろう!卑怯だぞ!」
「それは弱虫の苦情だろう!降伏せよ!中隊は歓待にあんたを許すから!」
「嘘もほどほど言え!この嘘つきが!」
ももりんは鏡で上を見て、ぼくに手振りをした。散々やられたやつらもそろそろ腹が立って攻撃をかけるタイミングになったんだろう。
「ハスタ、みんなを中隊のやつらがいる場所まで案内しろ。」
「え?」
「言っただろう。上にいるやつらがぼくらの突撃隊になるって!ぼくが上のやつらを中隊に案内するつもりだよ!」
ハスタもぼくの計画をそろそろ気がついたようだ。
「あんた、馬鹿か天才か分からない。」
「天才に言ってくれよ。」
ハスタは微笑んだあと、首を振って先に立った。
「絶対、待ってるから。」
「ぼくもここで死にたくはない。やるべき事があるから。」
「それも分かっているよ。ご無事に。」
ハスタは子供を撫でるようにぼくの頭を撫でた。彼女と一緒にいたらなんか心が安定する気分だ。
知り合ったのはだった一日だけどお互い長い間知っていたようだ。
このタテモノはただ人を殺し合い場所だけじゃなくて、人の本性を知り合う場所かも。ここは見せかけていた自分の醜い顔をそのまま現わすどころだ。
ぼくはふっとハスタの手を握った。
柔らかで暖かい手。
「下で待ってろ、道連れさん。」
「分かったわ。道連れさん。」
ハスタとぼくは笑いあった。
「あ、そう。あのビンを渡してくれ。」
「このビン?」
「いい手があるから心配しないで。」
ハスタは頬を染めてビンを渡した。そこには彼女の小便がなみなみ揺れた。
「あんたって変態よ。」
「うっせよ。ぼくは変態って名前の紳士だよ。」
「なにそれ。ヘエンタイイ。」
彼女はべろを出してぼくを揶揄ったあと、彼女はももりんとぺル一緒にカジノの出口に向けた。
「本隊に知らせ!反逆者がいる!ツチュサウサミュウガウ!ライライ、チンジャオロース!」
ぼくは鉄板を叩いてでたらめの中国語でいった。後ろの「チンジャオロース」を聞いて遠くでハスタがくすりと笑う声が微かに聞こえた。笑うなよ、ぼくが知っている中国語は中華料理しかないから!
「テンジンハンライ!アイヤ!」
ぼくはどんどんでたらめの中国語を使うのが面白くなった。テレビでお笑いさんがネタとしてやっても、あんまり面白くなかったのに。この状況はあのネタより笑わせる状況だ。
上にあるラクロスやつらにもぼくの中国語が本物かどうか判断が出来ない状況で仲間割れが起る寸前だった。
「話が違う!中隊を敵に回ってば生き伸びるのは不可能だ!」
砲撃の当事者であるラクロスのやつが文句を言った。
「この臆病が!あの中隊も「しゅてんどん」に壊滅な打撃を受けた直後だ!いい機会じゃねが!」
「しかし、あなたら「玉将隊」も中隊に壊滅な打撃を受けたのは同じじゃねが!」
「そうだ!俺の相棒が言う通りだ!計画通りもっと時間をかけて新人から物資を略奪して、「戦士」
を集めて攻撃するのがいい!」
ラクロスの二人組が激しく抵抗した。このままじゃため!やつらを尻について中隊と合わなきゃハスタの方がやられる!
しかし、ラクロスやつは玉将連中にただの槍先で過ぎない。階段の上でやつらの本隊らしいやつらが現れてラクロスやつらに弓を照準した。それを見てデカイやつがラクロスやつに言った。
「おい、相棒、こうなるだと言ったじゃん。」
「くそ。中隊の「かしら」は銃を持っていたと聞いた。あんたら新人と俺たちを「盾」として使うつもりだったのかよ。」
盾。
太田やつもそう言った。
人を盾として使ったあと、捨てるつもりだ。しかし、ぼくとラクロス二人組の考えと違って結論はちょっと変になった。そして、玉将の指揮官は変な事をラクロス二人組に言った。
「あんたら見たいに見事な「戦士」にそんな扱いは似合わない。おい!見ろ!我ら玉将の補償だ。」
ぼくはガラス破片でもっとも怖い光景を見た。玉将の連中は何と女性の首に紐を連結して賞品みたいに見せた。
その女性の中にはももりん見たいに幼い女の子もあってセーラ服を女子高生も見える。まるで女子を賞品として見せている。
「ここには処女もある。また新人で手を触れてない女もある。どうだ?あんたら「せんし」には女の柔らかな肌が必要だ。セックスはここで楽しめる悠一な道楽だから!」
ラクロスの二人組は小学生を見て玉唾を飲み込んだ。このやろう!
このタテモノの中には「女性」の人権なんでないと同じだ。例えそうだとしても人間には最低線があるのだ!
また幼い子供じゃないか!あの小学生は可憐にもブルブル震えていた。
多分、ここで女の子がどうなるか見ただろう。ハスタ組のももりんと比べても幼い子供!ももりんとあの小学生がだった一つ違ったのは「どんな人」を建物の中で出会った事だけだ。
余りにも過酷な状況で皮肉な事だ。どんな人と出会うのが人の運命を決めるなんで・・・。考えば建物の外でも同じだ。
ぼくだって「太田」と出会わなかったら、こんな人生になったかどうか分からない。
人の出会いこそ他の人の人生を決める大事な事だ。この建物はそんな当たり前な事実を明らかに教えている。
人。
人間。
人間の暖かさとか、人情とかそんなに大げさな物じゃなくてもいい。
イエスとかマザー・テレサように無条件的な「愛」じゃないでもいい。
大体、他の人のために簡単に自分の命をあげる人間なんでこの世にいるのかよ。
ぼくは太田やつらに散々やられたあとそんな無条件的な「好意」とか「善行」とか全然信じなくなった。そんなのが本当にあったら何故、ぼくに「手を伸ばした人」はなかったんだ。
好意と善。
ぼくがあの時、感じたのはそんな物は「正常な人」の間に通用する物だったんだ。トイレで倒れていたぼくは正常な人ではなかった。
「弱い人を助けろ」って言っても自分が被害にあうどころなら、人は簡単に「正義」を無視してその場から逃げてしまうだろう。
好意?仕舞いにはぼくは信頼とか、好意とかそんなの嘲笑った。人って簡単に変える者だとぼくの目で直接見ただから。最後では「頑張れ」、「諦めるな!]って生温い言葉が役立たず、ただの「セリフ」だけだと分かったんだ。
そして、太田やつのいじめがどんどん酷くなる時、ぼくは考えた。
善意とか、好意とかどうでもいい。
せめて。
せめて、余計な忠告じゃなくて見えないふりをする人がありがたかった。
せめて、ぼくを攻撃しない人が本当にありがたかった。
「せめて、何にも言わずに一緒に道を歩ける「あんた」がありがたい。」
あら?どうしたの。
ぼくはどっと涙を零した。
彼女がぼくに感じたのも、こんな気持だったのか?誰も信じらないこのタテモノの中で信じる対象を発見してついに感じる安心感と喜び。
考えて見たらハスタ組の人と話をしたのが「高校二年の時」以来、もっとも自然に話しあった瞬間だった。
彼女たちをここで失しなったらぼくは後悔するはずだ。
ぼくはここで太田やつを殺すのが主目的が、せめて彼女がこの建物を出るのもぜひ見たいんだ!
ここを出て下らない日常に戻る、その場面が見たい。
もちろん、ぼくは全ての人を救う事は出来ない。あの玉将やつらに捕まえた女の子なんでぼくの力で出来ない。
せめてあのバカでいい人達が。
せめて本の少数だか「白い羊」達がこの地獄の底を出てもいいじゃないか?
それは大げさな人間愛とかじゃなくて、ただ、同じ「弱者」としてほかの弱者が勝つのを見たいだけだ。
まるで「あの時の地獄で誰が助けてぐれ!」って叫んでいたぼくのように。そうだ、あの時のぼくは可憐に「救援」を求めていた「羊」だった。
くっそ!ハスタと二人を皆殺しにさせるもんか!
ぼくは自分の頬を張ってまた大声に叫んだ。
「なんと!後退だとお!なぜだ!まさか突撃隊がなかったのか!」
本来なら中隊やつらはこんな重要な情報は中国語で言ってるけど、多い日本人の中隊員が日本語で喋る事があった。
ぼくが殺した恵比寿と何人の中隊員も全部日本語で喋った。ラクロスと玉将連中、そしてぼくの共通点があればそれは中隊と戦った経験だ。あいつらも中隊と戦う時ぼくと同じ物を見て同じ物を経験したはずだ。
「くっそ!新人がないだとお!昨日、新人を補充しなかったのか!なんだと?分かった我らの小隊はここから一旦引き去る!」
タテモノ中の戦いって原始的な一面があった。石斧と鉄板の刃で戦う「冷兵器」の戦闘だから気勢とか士気とかが重要だ。玉将のやつらは中隊をそんな戦いを何度もした相手だ。当然、中隊が本当に弱点を見せたら・・・。
「やつらを追え!中隊の盾である新人突撃隊はほとんどない!」
「そうだ!やつらは明らかに弱くなったいる!このカジノで死んだ「かしら」の復讐だ!」




