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マシナリー×マジック  作者: 射月アキラ
Code4:PECHEUR
40/46

09

 ブラッドは思い出す。

 二年前、襲撃者ペッシャールに挑み、負け、死んでいったソードフィッシュのパイロットたちを。

 ヒミングレーヴァの司令室で見た、チャンの破壊衝動をにじませる狂気的な言動と、火事か爆発にまきこまれてできたような火傷痕を。

 モン・チャンは止まらない。ブローズグハッダは止まれない。

 突撃の勢いそのまま、ブローズグハッダはレヴィアタンに激突──その寸前に、体を大きく膨らませた。ハリセンボンの威嚇姿勢。丸く膨らみ、棘を立て、直後に爆発。

 コールガのコード・マジックなどとは比べ物にならないほどの巨大な炎が、海の上に生じた。巨大な戦艦レヴィアタンを呑みこみ、爆風で飛来した棘が護衛艦に突き刺さる。海面には、クレーターのように白波が立った。

 息をのむ。思考が止まる。いっそ美しく見えてくる爆発とその余波に、目を奪われて反らせない。

 ブローズグハッダの名の意味は「血まみれの髪」。

 そのコンセプトは──

『絶対帰還の特別攻撃』

 ノイズ一つない通信が入った。独特のイントネーションが残る、素っ気ない口調だった。

 同時、爆炎の中から、しぼんだ状態からさらにひとまわり小さくなったブローズグハッダが姿を現す。完全な二層構造を持つブローズグハッダは、機体前方の魔力増幅装置にて最大火力を実現し、その中から抜け出すことのできる小さな機体を魔力の盾によって保護している。

 自爆。しかし、パイロット自身には傷一つつかない。機体の外装を使い捨てて実現する、ハイリスクハイリターンな一撃必殺。

『腑抜けるなと行ったはずダ。お前はお前の仕事を果たセ』

「──っ、おま、え」

 ブラッドは、干からびた喉から言葉を絞り出す。

 そこに、口を挟むようにして電子音声が通達する。

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