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マシナリー×マジック  作者: 射月アキラ
Code4:PECHEUR
39/46

08

 大量の火球が空を焼いた。着弾の直前でペッシャールは機体を傾け、火球の間に生じた空白をぬうように飛ぶ。ブラッドとコールガのAIによって計算されつくしたルートを。

「第二波、待機」

 コマンドと共に、ブラッドの視線がペッシャールから反らされる。

 ペッシャールを押し込めた──ということは、なにも問題が起こっていなければチャンが動く。レヴィアタンに攻撃をしかけるために。

 高速処理を行う脳は、時間を引き延ばしたようにたくさんの情報を仕入れてくる。雲を突き破って躍りでるブローズグハッダを捉え、それから数秒後に海上の戦艦から放たれた対空ミサイルの軌道すら読みきる。

 ノーネームの遊撃の影響で、レヴィアタンと護衛艦に残された兵装は少ない。ペッシャールもコールガに抑えられ、ブローズグハッダの行く手を遮るものは最小限にとどめられている。

 しぼんだ状態のまま、ハリセンボン型の機体は火力特化の性質を思わせない身軽さでミサイルをかわしていく。まっすぐにレヴィアタンに突撃するような軌道。速度は全く落ちない。

 ──おかしい。

 秒単位の場面の中で、ブラッドは疑問を抱く。

 ブローズグハッダはいまだに撃っていない。

 火力特価である場合、強大なエネルギーを撃ちだすために機体を安定させる必要がある。敵から発見されない場所で狙撃体勢をとり、誰にも悟られないまま撃ちこむのがもっとも効率的なのだ──遠距離から高火力を発揮できる場合は。

 もどかしい、とブラッドは歯を食いしばる。脳の処理速度に体が追いつかない影響で、チャンを止める言葉すら発することができない。

 ただ、制止したとしても止まることなどしないだろうということは、うっすらと理解していた。

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