第十八話
犬飼は笑ったまま俺に
「斑目……派手にやってくれたなぁ」
俺はタバコに火をつけた。
「ラーメン屋に火をつけたのてめぇか?」
「やっぱりそれかぁ……
知りたいならこいつらと戦えや……」
すると犬飼の後ろにいた
男たちが一斉に俺へ飛びかかってきた。
正面から一人。
その左右から、さらに二人。
俺は正面の男が振り下ろしてきた拳を、
半歩だけ身体をずらしてかわす。
勢い余って体勢を崩した男の腹へ、
そのまま膝を突き上げた。
「ぐっ……!」
男が腹を押さえて前のめりになる。
その瞬間、
右側から別の男が拳を振りかぶってきた。
俺は振り向きざまに腕を上げて拳を受け流し、 空いた顔面へ拳を叩き込んだ。
「がっ!」
鈍い音が響き、 男の顔が横へ弾ける。
だが、休む暇はない。
今度は左から、
もう一人の男が殴りかかってきた。
俺は一歩踏み込み、
そいつの懐へ潜り込む。
「遅ぇよ」
脇腹へ拳を叩き込み、
身体がくの字に折れたところで、
顎へ拳を突き上げた。
「ぐあっ!」
男が後ろへよろめく。
その背後から、
さっきまで倒れていた男が俺の足へしがみつこうとしてきた。
俺はそいつの腕を振り払い、
顔面を蹴り飛ばした。
男は床を滑るように転がり、
そのまま動かなくなった。
「くそっ!」
残った二人が、
ほぼ同時に向かってくる。
俺は一人目の拳をかわし、
すれ違いざまに腹へ拳を叩き込む。
「うっ……!」
そのまま身体を反転させる。
もう一人が目の前まで迫っていた。
俺は腰を捻り、
勢いを乗せた拳を顔面へ振り抜いた。
「ぐあっ!」
男の身体が大きくよろめく。
倉庫の中が、一瞬静まり返った。
「おぉやっぱりこうなるか……
こいつら組でもそこそこ強いのに一瞬だったなぁ」
「犬飼……もう一度聞くてめぇが火をつけたのか?」
「さぁ……」
すると犬飼は
「いただきます」
次の瞬間、
犬飼が一気に間合いを詰めてきた。
「っ……!」
鋭い拳が顔面をかすめる。
俺は身体を反らしてかわすが、
続けて腹に重い蹴りを叩き込まれた。
「ぐっ……!」
数歩後ろへ下がる。
だが、
犬飼はすぐに追ってきた。
俺は飛んできた拳を腕で受け流し、
そのまま顔面へ拳を返す。
犬飼は寸前でかわす。
今度は俺が踏み込み、
腹へ拳を叩き込んだ。
鈍い音が響く。
犬飼の身体がわずかによろめいた。
それでも、
奴は笑っていた。
「ぐはっ………やっぱりすげぇな斑目」
「もう一度聞く……火をつけたのはてめぇか?」
「だーかーら俺を倒したら答えてやるよ」
再び俺との距離を詰めてきた。
さっきまでより速い。
振り抜かれた拳をかわす。
だが、
二発目がすぐに飛んでくる。
俺は腕で受け止めた。
「ぐっ……!」
そのまま犬飼は俺の胸ぐらを掴み、
腹へ膝を叩き込んできた。
俺はその腕を振りほどき、
顔面へ拳を返す。
犬飼は身体を反らしてかわす。
次の瞬間、
犬飼の額が俺の顔面に叩き込まれた。
俺は数歩後ろへよろめきながら下がる。
犬飼はゆっくり顔を上げる。
また、 笑っていた。
「……男前の顔になったじゃん」
「笑ってられるのも今のうちだ」
俺は一気に踏み込んだ。
犬飼が拳を振り上げる。
その瞬間、
俺はさらに懐へ入った。
腰を捻り、
全体重を拳に乗せる。
そして
犬飼の顔面へ、
拳を思い切り叩き込んだ。
「がはっ……」
犬飼の頭が大きく跳ねる。
その身体が、
後ろへ大きくよろめいた。
「ま……だ……ま……だ……あ……そぼ……」
そのまま床へ崩れ落ちる犬飼
俺は犬飼の胸ぐらを掴み
「おいてめぇが火をつけたのか?」
「…………親……父……だ……よ」




