第十五話
「東金一派を……潰す?」
エマから思いがけない一言に
俺は驚いてしまった。
「うん!それが私からの依頼〜」
「ちょっと待て……お前本気か?」
「あったりまえじゃ〜ん……
こっちは店も仲間もやられてんだよ?
分かってるよね?
東金一派は私に喧嘩売ってきたんだよ」
その顔には怒りすら見えた。
「エマさんその依頼は受けられませんね」
野沢さんはエマに紅茶を差し出しながら、
穏やかな口調で告げた。
「え〜なんでよ?」
「エマさん。我々は店舗を支援する会社です。
ヤクザ組織を潰すための会社ではありません」
紅茶を飲んだエマは俺の顔を見て
「でもね野沢っち……
仁ちゃんはやる気みたいだよ〜」
「野沢さん……依頼受けよう」
俺は静かに野沢さんに言った。
野沢さんには悪いが俺はこの依頼
受けないといけない……
「ですが斑目さん……」
すると奥で聞いていたお嬢が
「爺や……受けよ」
「お嬢様……」
エマに近づき手を握るお嬢
「この依頼絶対受けよう……だって……だって……」
野沢さんの顔を見るお嬢
「エマさんが可哀想じゃん」
「……え?」
「お嬢様……」
少し変な間が空いた後エマが笑いだした。
「あはは……
マジウケるね〜
情に弱いって聞いてたけどさすがだわ〜
河本ゆりさんいや……ゆりっち!」
エマは野沢さんの顔を見て
「野沢っちどうする?三対一だよ?」
「…………しかし……」
「野沢さん……
こうなったのも俺に責任がある……
だからこの依頼受けたいんだ……だから頼む」
俺は頭を下げ野沢さんにお願いした。
元はと言えば俺がエマに情報を聞いた事で
この事件が起きてしまった……
俺の責任だ……
野沢さんは心配そうな顔で俺に、
「……分かりました……ですが斑目さん……
危険な事だけはしないでいただきたい。」
「あぁ………分かった」
「それとラーメン屋のマスターの件も忘れずに………」
「あぁ……それか……」
事務所に寛太が現れた。
「おざーっす社長コンビニで美味そうな……プリン」
すると寛太はエマに近づきに手を握る
「自分津田寛太って言います。カンちゃんかカンチと
呼んでください」
「あはは……
君ウケるね〜
じゃあカンチと呼ぼうかな〜
私はエマよろしくね。
カンチ」
「はい!」
「気は済んだか?」
「兄貴……俺今ならなんでも出来そうです……」
その様子を見て、
俺はふと思いついた。
「野沢さん...ラーメン屋の件こいつにも手伝ってもらいましょ。」
「えっ?寛太君にですか?」
寛太はまだエマの手を握っていた。
俺はその頭を小突いた。
「いつまで握ってんだ」
「痛っ!」
「野沢さん。こいつに店の前を見張らせて、
連中が騒ぎ始めたら警察を呼んでもらう。
ついでに店の手伝いもさせるってのは
どうでしょう?」
野沢さんは少し心配そうな表情で
「でも……寛太君を危険な目に遭わせるわけには……」
「大丈夫ですよ。
喧嘩させるわけじゃありません。
何かあったらすぐ警察を呼ばせます」
すると寛太は立ち上がり
頭を下げた。
「俺やります。野沢さんお願いします」
「分かりました……
でも寛太君連絡はこまめにしてくださいね……
ラーメン屋のマスターには
私の方から連中しておきましょう。」
「ありがとうございます」
俺は野沢さんに頭を下げた。
するとエマが唐突にこんな事言ってきた。
「だったらラーメン屋の件、
私も少し調べてみるよ〜。
何か分かるかもしれないし!」
「いいのか?」
「もちろん〜そのぐらいはさせてよ〜仁ちゃん」
「兄貴の事を……仁ちゃんって……可愛い」
「意味が分からねぇだろ」
また俺は寛太の頭を小突く。
するとお嬢が
「私もなんか手伝います!」
「お嬢は……」
言葉に詰まる俺。
「お嬢様は事務所でお待ちになった方が
よろしいのでは?」
「やだ、なんか手伝いたい!」
「お嬢……わがまま言うなって」
「なんで!? 寛太君はいいんでしょ!?」
「お前と寛太じゃ立場が違うだろ」
「そんなの関係ないもん!」
俺は思わず頭を抱えた。
「……ったく。誰かこいつを何とかしてくれ」
するとエマが
「だったらラーメン屋のお手伝いしてくれば?」
するとお嬢の顔がニコッとした。
「それいい!!絶対にいい!」
「お嬢様が接客……大丈夫でしょうか?」
「危険な事はないからやらせるのもありだと思います。」
「ならお願いしますね...お嬢様」
結局、野沢さんも折れることにした。
俺は東金一派の動向を探る。
お嬢と寛太はラーメン屋の手伝い。
野沢さんには店との連絡や調整をお願いする。
こうして、それぞれの役割が決り。
こうして俺達はそれぞれ行動を開始した。
同日 地下
薄暗い部屋に、不気味な笑い声が響いていた。
『KATE君〜。なんで約束守らないの?』
東金は笑っていた。
その手には、血の付いたハンマーが握られていた。
「と……東金……さ…………ん……俺は……」
「ぼく言い訳嫌い♡」
東金はハンマーを振り下ろし、
KATEの足の指を潰した。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁあ」
「いいね♡
次もう一本イクよ♡」
「待って……待って……」
「なんで二人を僕の所に連れてこないの?」
そのままいきよいよくハンマーを振り下ろした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
両足の親指は粉々に
しかし東金の勢いは止まらない。
「なんで約束守れないの?
しかも誰かに負けたんでしょ?
KATE君……君には失望したよ♡」
そのまま順番に足の指をハンマーで、
粉々にしていく東金
最後の指になる時KATEはか細い声で
「も……もう……許し……て」
「じゃあ誰に君たちはやられたの?」
「…わかり……ま……せん」
「あっそ〜♡」
東金はゆっくりとハンマーを持ち上げた。
「じゃあ、もういいや♡」
「ぐわぁぁぁぁぁぁ……」
KATEの叫び声が鳴り止まなかった。
「親父、失礼します」
「僕に用? 楽しんでるんだよ……殺すよ♡?」
「すいません……
例の件ですが、目撃者がいたようで……」
「目撃者〜?」
「どうやら、……」
若衆が東金に耳打ちをする
東金の手が止まった。
その顔に、不気味な笑みが浮かぶ。
「仁君かぁ……探せ♡」
同日 夜
「えぇ……東金が動いてます……えぇ……
東金がしくじったらこちらで対処します。」
どこかに電話をする岩城。
「えっ?…………分かりました……
それではまたご連絡します……会長」




