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ROAD  作者: たけまる
13/19

第十三話

窓から差し込む朝日が顔に当たり、

俺は目を覚ました。

どうやら事務所で寝ちまったらしい。

「兄貴おざーっす」

「……お前何やってんだ?」

ほうきを持ち俺に挨拶をする寛太。

挿絵(By みてみん)

「こういうのってあれっすよね?

一宿一飯の恩ってやつっす」

「あぁ……そうかい……」

「斑目さん……おはようございます。

朝食にコーヒーでもいかがですかな?」

「いや野沢さん

俺は昨日の話の続きをしたくて……」

野沢さんを見ると

挿絵(By みてみん)

「……ってなんでそんな格好してるんですか?」

「いや……

寛太君が頑張っているのを見ると、

私もつい頑張りたくなって」

「あぁ……そうっすか」

「兄貴、

やっぱ掃除って気持ちいいっすね」

「勝手に兄貴にすんなコラ」

俺は寛太の頭を軽く小突いた。

その時入口から事務所に入ってくる一人の女性。

「おはようございます。お嬢様」

「おはよう、爺や」

ほうきを落とす寛太。

彼女に近づき、

「自分、津田寛太って言います。

カンちゃんと呼んでください

この後お暇ですか?

僕と一緒にお茶……」

「調子に乗るな」

俺は寛太の頭を思いきり叩いた。

「痛っ!」

その場に倒れ込む寛太。

すると彼女は、

何事もなかったかのように寛太の手を握った。

「私、河本ゆりと申します。

株式会社リリーの社長をやっています。

よろしくお願いしますね」

満面の笑みで自己紹介をする河本。

「斑目さん……少し、二人で話しませんか?」

「なら屋上で話そうか?」

俺は河本を連れ、屋上へ向かった。

屋上に着いて、

俺はタバコに火をつけた。

「斑目さん……私……」

「その前に、

俺からも聞きたい事があるんだ……」

煙を吐き出し、

彼女に視線を向けた。

「君は、自分の父親を殺した奴をどうしたい?」

挿絵(By みてみん)

しばらくの間、

俺達の間に沈黙が流れた。

やがて彼女が、重い口を開いた。

「……私は…………

……父を殺した人間を……

……突き止めたい……」

彼女は真剣な眼差しで、

「斑目さん…………お願いです。

私に協力してくれませんか?」

「俺が君に協力?」

思わず聞き返した。

彼女は小さく頷くと、

まっすぐ俺を見つめた。

「はい……。私には、この街で何をすればいいのか、全く分からないんです」

俺はタバコの火を消して

彼女に俺は向き合った。

「俺はこの街で、色んな人間を見てきた……

綺麗な奴ばかりじゃねぇ。

人間の汚ぇ部分も、嫌というほど見てきた……」

俺は一度言葉を切り、彼女を見つめた。

「……あの時、

君の親父さんから借金を取り立てたのは俺だ……

それは紛れもねぇ事実だ……」

俺はありのまま伝える事にした。

「俺がこの街に戻って来た理由……

梶原豊を殺した犯人を見つけるそして

俺自身の手で落とし前をつける……

その為にこの街に戻ってきた。」

俺は改めて、

彼女に問いかけた。

「ここから先は、綺麗事じゃ済まねぇ」

彼女は黙って俺の言葉を聞いていた。

「君が知りたくなかった事実に辿り着くかもしれねぇ。それでも君は……

親父さんの死の真相を追う覚悟はあるか?」

しばらくの沈黙の後、彼女はゆっくりと顔を上げた。

「……はい」

その瞳には、

先ほどまでの迷いはなかった。

俺は小さく頷くそして、

「分かった。協力しよう。

ただし、一つ条件がある」

「条件……ですか?」

「ああ。俺達を株式会社リリーで雇ってくれ」

彼女は驚いた表情で聞いてきた。

「えっ?えっ?どういう事でしょうか?」

「さっき会った寛太なぁ……

あいつ帰る場所がないって言ってたからよ、

事務所で寝泊まりさせて欲しいんだよ。」

俺は彼女に寛太の素性を話した。

「給料は月給制でいい。そこから家賃と光熱費を差し引いて、残りをあいつに渡してやってくれねぇか?

……………頼む。」

俺は彼女に頭を下げた。

すると彼女は、

少し困ったような表情を浮かべた。

「事情は分かりました。でも、一つだけ先にお話ししておきたいことがあります」

「……なんだ?」

「斑目さん。実は、私の会社……」

彼女は少し言いづらそうに視線を落とした。

「そんなに上手くいってないんです……」

俺が返事に困っていると、その時だった。

屋上の出入口から、慌ただしい足音が聞こえてきた。

「兄貴!!」

振り返ると、寛太が息を切らして走ってきた。

「寛太?」

寛太は俺たちの前に駆け寄ると、

突然その場で土下座した。

挿絵(By みてみん)

「ゆりさんじゃなくて……社長……お願いします!

掃除でもなんでもやるので雇ってください!」

「寛太……」

「兄貴と社長の話、野沢さんから聞きました……」

寛太は顔を上げた。

「俺も協力したいんです……

だから社長、お願いします!俺を雇ってください!」

寛太は半べそをかきながら、再び深く頭を下げた。

「お嬢様……私からもお願いします」

「もう……二人とも雇います。ただし!」

「……ただし?」

「うちの会社、本当に余裕がないんですからね!給料の分は、しっかり働いてもらいますよ!」

「ああ。もちろんだ。

河本……いや、お嬢……ありがとう」

「お嬢って……もう、なんでもいいや」

お嬢は呆れたように笑った。

こうして俺達は株式会社リリーで

働く事になった。

「兄貴……

そういえばここってどんな会社なんですか?」

寛太が俺に聞いてきた。

「そういえばここってどんな会社なんだ?」

お嬢と野沢さんは、しばらく顔を見合わせていた。

やがて二人は俺たちに背を向け、

ひそひそと話し始めた

「爺や……なんて言おう」

「お嬢様ここは正直に言うのがベストかと」

「えっ?特に決まった仕事してないって伝えるの?」

俺と寛太はそのやりを聞いていた。

「兄貴……丸聞こえっすね」

「あぁ……」

俺はタバコに火をつけ

お嬢に提案してみた

「だったら債権回収とかどうだい?」

俺がそう提案すると、

お嬢と野沢さんは同時に振り返った。

「債権回収?」

「あぁ…この街には金で困ってる連中がいてな

警察にもましてやヤクザにも頼めないようなのがゴロゴロいるんだよ。」

俺はタバコを一服し、話を続けた。

「ならそいつらの依頼を俺達が受けて仕事をする

回収した債権の四割と依頼料を貰う」

「兄貴……さすがっす」

すると野沢さんが問いかけた。

「なるほど……ですが、

一つ問題があります」

「なんだ?」

「具体的に、どうやって回収するおつもりですか?」

「それは……」

俺は再び一服する。

「やはり暴力っすか?」

俺は寛太を小突いた。

「斑目さん。それ、下手すると違法ですよ」

「……あ?」

「兄貴……早速捕まるんすか?」

「うるせぇ!まだ何もしてねぇだろ」

すると野沢さんが、

「私の知り合いに有能な弁護士がいますので回収の交渉などをお願いしましょう。」

「でも野沢さん。

兄貴が言ってた、回収した金の四割って話はどうなるんすか?」

すると野沢さんは、あっさりと答えた。

「それは無しです。弁護士にはお客様から直接依頼していただきます。私たちは事務代行や店舗支援で利益を上げるんです」

「……ずいぶん地味な商売だな」

「兄貴、真面目に働くってそういうことっすよ」

「お前に言われたくねぇ!」

俺はまた寛太を小突いた

するとお嬢が一言

「分からないけどとりあえずやってみましょう。」

俺はタバコを消して

「フッ……頼りねぇ社長だな」

同日 BLACK DIAMOND

華やかな照明が照らす店内に、鈍い音が響いた。

「ガシャァン!!」

男の身体がテーブルに叩きつけられ、

グラスが砕け散る。

「キャー!!」

「早く逃げろ!!」

客たちが悲鳴を上げ、出口へ殺到する。

その中心で、犬飼だけが楽しそうに笑っていた。

「早く情報屋を出さないと、みんな死んじゃうよ〜?」

挿絵(By みてみん)


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