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ある日記  作者: ゆくえ知らず
和三盆
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3/7

和三盆 3

 私は、小説と物語ではどう違うのかな、と少し考えてから「はい、好きです」と答え、高校では文芸部に所属しています、と付け加えた。

「私も好きよ。文芸部というのであれば、お仲間やご友人がいるのね」


 ご友人、という言葉がちくりと胸に刺さった。


「あの、さっき『見つけてもらえて』っておっしゃっていましたけど、どういう意味なのでしょうか」

 胸の痛みはまだ続いていたが、呼吸をするのは随分と楽になっていた。自分がこんなに普通に話せることに、少し驚いていた。


「言葉通りの意味よ、見つけてくれて嬉しいわ」

 でも、と私は思った。

「前からここにあったのですか」

「さあ」

 女性は、ひときわ美しい笑みを浮かべて軽く首を傾げた。どうやら答えるつもりはないようだった。

「それは、自分で考えないと」

 私は、この件について深掘りするのを諦めて、白い月の片割れを口に運んだ。涼しい甘さのおかげでまた少し緊張が解けた。


「私、好きな人がいたんです」

 なぜ、そのようなことを口にしたのかはわからない。「そう」と言ったきり、女性は微笑み、何も言わなかった。

 彼女はもしかしたら私の言葉を待っていたのかもしれない。しかし、その先のことを語ることは、私にはまだできなかった。


 香ばしい薫りの漂う穏やかな時間が流れるのに、しばらく私は身を任せ、やがて店を出てアスファルトの道に降りた。


 椿の生垣の脇を進む。

 静かだった。


 自転車に乗った男子にすれ違った。彼は、私が今出てきた建物に気がつきもしないのか、一瞥を与えることもなく、通り過ぎて行った。


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