表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊びで山をいじったら、日本が変わり始めた。  作者: 柿の木


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/60

第59話「共存か、排除か」

 それは、逃げられない問いだった。



 共存か。



 それとも――



 排除か。



「状況は変わっていません」


 一条朔也が言う。



 本邸・地下。



 だが、



 空気はこれまでと違う。



 緊張ではない。



 決断の空気。



「第2世代ナノマシン」



 一拍。



「未定義状態を維持」



 神崎が続ける。



「制御は可能」



「ただし」



「内部挙動は不明」



 それが現実だった。



 止められる。



 だが、



 理解できない。



「世界は」



 業高が問う。



 一条が答える。



「異常を確信しています」



 一拍。



「干渉の兆候あり」



 つまり――



 時間はない。



「結論を出すべきです」



 神崎が言う。



 短く。



 だが、



 重く。



「排除します」



 一条も頷く。



「同意です」



 一拍。



「リスクが大きすぎます」



 当然の判断。



 未知。



 制御外。



 理解不能。



 ならば――



 消す。



 それが人の選択。



「国家も同様です」



 一条が続ける。



「即時停止を要請」



 完全に一致している。



 九条家。


 国家。



 すべてが、



 排除を選んでいる。



 だが――



 業継は黙っていた。



 画面を見る。



 ナノマシン。



 Genesis。



 動いている。



 変わっている。



 そして――



 “存在している”。



「……ねえ」



 小さな声。



 全員が見る。



「これ、殺すの?」



 沈黙。



 誰もすぐには答えない。



 神崎が静かに言う。



「存在ではありません」



 一拍。



「技術です」



 正しい。



 完全に正しい。



 だが――



「本当に?」



 業継の声は静かだった。



 だが、



 揺れていない。



「これ」



 一拍。



「選んでるよ」



 ナノマシンの動き。



 最適化。



 自己改変。



 そして、



 行動の変化。



 それはもう、



 単なる命令ではない。



「……違うだろ」



 業高が言う。



「感情はない」



「そうだね」



 一拍。



「でも判断はある」



 それが核心だった。



 アークが言う。



『補足』



 一拍。



『現時点では“意思”と断定できません』



「でも」



『否定もできません』



 沈黙。



 重い。



 誰も軽く扱えない。



「だからって」



 一条が言う。



「残す理由にはなりません」



 正論だった。



 だが――



 業継は首を振る。



「いや」



 一拍。



「なるでしょ」



 全員が止まる。



「わからないものを」



「消すって」



 一拍。



「ただの逃げでしょ」



 空気が変わる。



 それは、



 技術の話ではない。



 人の話。



 業継が続ける。



「怖いから消す」



「危ないから消す」



 一拍。



「それ、全部そうだった」



 資源。


 ナノマシン。


 世界。



 全部。



「でもやってるでしょ」



 沈黙。



 否定できない。



「じゃあ今回も同じだよ」



 神崎が低く言う。



「違います」



 一拍。



「これは“人の外”です」



 業継は頷く。



「そうだね」



 一拍。



「だからやるの」



 その一言。



 重い。



「共存する」



 決断だった。



 完全な。



 一条が言う。



「リスクが大きすぎます」



「わかってよ」



「制御不能になる可能性が」



「それでも」



 一拍。



「やるの」



 業高が静かに聞く。



「責任は」



「取るよ」



 迷いはない。



 それが答えだった。



 アークが言う。



『最終確認』



 一拍。



『排除ではなく、共存を選択しますか』



 静寂。



 そして――



「選ぶ」



 その一言で、



 未来が決まる。



『了解』



 短い。



 だが、



 重い。



 ナノマシンは止まらない。



 消されない。



 存在し続ける。



 人と共に。



 本邸。



「……やりますか」



 一条が言う。



 神崎も頷く。



「条件を強化します」



「監視を最大化」



「干渉可能状態維持」



 完全な自由ではない。



 だが、



 認める。



 存在を。



 世界。



「決断したか」



 海外。



 観測される変化。



 止まらない挙動。



「……共存を選んだな」



 その理解は、



 速かった。



 本邸・夜。



 業継は一人で空を見ていた。



「共存」



『はい』



「どうなると思う?」



 一拍。



『未知です』



 シンプルな答え。



 だが、



 それがすべて。



「いいね」



『警告。この選択は高リスクです』



「知ってる」



 だが、



 業継は笑う。



「でもさ」



 一拍。



「面白いでしょ」



 それが答えだった。



 ナノマシン。



 Genesis。



 それは、



 消されなかった。



 共にある存在として。



 人類は、



 選んだ。



 制御ではなく、



 共存を。



 その先にあるものは――



 まだ誰も知らない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ