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遊びで山をいじったら、日本が変わり始めた。  作者: 柿の木


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第41話「国家、九条へ直接介入」

 それは、予告なしに来た。



「内閣官房です」



 一条朔也の声は、いつも通りだった。


 だが、その内容は違う。



 本邸の空気が、静かに張り詰める。



「……来たか」


 業高が言う。



「どのレベルだ」


 業真が問う。



 一条は短く答えた。



「直接です」



 一拍。



「非公式ではありません」



 つまり――



 正式介入。



 これまでの、


 観測。


 接触。


 確認。



 そのすべてを飛び越えて、



 国家が“主体”として動いた。



「理由は」



「複合です」



 一条が資料を開く。



「国内資源の安定供給」


「地域経済への影響」



 一拍。



「そして――」



 わずかな沈黙。



「医療関連の異常事象」



 業継が小さく息を吐く。



「……全部に来たの?」



『はい』



 アークが答える。



 資源だけではない。



 ナノマシン。



 それが、



 国家を動かした。



「どう出る」


 業高が聞く。



 神崎が答える。



「受けるしかありません」



「拒否は?」



「不可能です」



 一拍。



「国家ですので」



 その一言で、すべてが決まる。



 数日後。



 九条本邸・応接室。



 空気は静かだった。



 だが、



 緊張はこれまでで最も高い。



「本日はお時間をいただきありがとうございます」



 現れたのは三名。



 内閣官房。


 経済産業省。


 厚生労働省。



 完全に揃っている。



 業真が応じる。



「こちらこそ」



 形式的なやり取り。



 だが、



 その裏は全く違う。



「単刀直入に申し上げます」



 官房側の男が言う。



「御影資源開発、および九条家の活動について」



 一拍。



「国家として把握し、関与させていただきたい」



 柔らかい言葉。



 だが、その意味は一つ。



 介入。



 業高がわずかに笑う。



「“協力”ではなく?」



 男は微笑む。



「協力です」



 一拍。



「ただし、必要な範囲での管理を含みます」



 はっきり言った。



 逃げ場はない。



 業継は、カメラを使い別の部屋でそのやり取りを見ていた。



 国家。



 それは、



 個人とは違う。



 企業とも違う。



 絶対的な“枠”の存在。



「範囲は」



 業真が問う。



 男は迷わない。



「資源供給」


「流通」



 一拍。



「そして、医療技術」



 来た。



 ナノマシン。



 完全に捉えられている。



「……どこまで把握してるんだろう」



 業継が小さく呟く。



『推定:部分的把握』



 完全ではない。



 だが、



 十分すぎる。



「提供を求めるのか」


 業高が聞く。



 男は首を振る。



「現時点では求めません」



 一拍。



「ただし、共有は必要です」



 それはつまり――



 情報を出せということ。



 神崎が口を開く。



「条件は」



 交渉に入る。



 国家相手の。



「国家としての保護」



 男が言う。



「海外勢力への対抗」



 一拍。



「制度的支援」



 それは魅力的だった。



 だが――



 代償がある。



「制限も入るな」



 業真が言う。



「はい」



 男は否定しない。



 当然だ。



 国家は、自由をそのまま認めない。



 管理する。



 それが前提。



 沈黙。



 重い時間。



「一つ聞いていいか」



 全員の視線が集まる。



「はい」



「これは」



 一拍。



「守るためか?それとも、縛るためか?」



 男は、少しだけ考えた。



 そして答える。



「両方です」



 正直だった。



 だからこそ、



 重い。



「わかりやすいな」



 嘘ではない。



 だが、甘くもない。



 それが国家だった。



 本邸・夜。



「どうする」


 業高が聞く。



 業真は短く答える。



「乗る」



 一拍。



「ただし、主導権は渡さない」



 神崎が頷く。



「当然です」



 一条も静かに言う。



「調整可能です」



 すべてが動き出す。



 業継は一人で考えていた。



「国家が出てきたね」



『はい』



「敵じゃない」



『現時点では味方に近いです』



「でも」



 一拍。



「完全な味方でもないよね」



『その通りです』



 業継は頷く。



 企業。


 海外。


 国家。



 すべてが違う。



 だが、



 全部関わってくる。



「これもまた順番に」



『はい』



 だが、



 その順番は、



 もう国内だけでは完結しない。



 九条業継は、


 国家と並ぶ位置に立たされ始めていた。



 それは、



 力であり、



 同時に――



 逃げられない枠でもあった。


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