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遊びで山をいじったら、日本が変わり始めた。  作者: 柿の木


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第10話「橘智紀、ナノマシン構想に触れる」

 橘智紀は、確信していた。


(絶対にあの部屋にはまだ見せてないものがある!鉱脈やAIのアークだけじゃ無いもっとヤバいものが!)


 それを確かめるため、彼は再び九条本邸を訪れていた。



「また来たのか」


 業継はあっさり言った。


「来る」


 橘もあっさり返す。


「で、今日は何見る?」


「お前が“まだ見せてないもの”だ」


 直球だった。


 業継は一瞬だけ目を細める。


 だが否定はしなかった。


「……なんでわかるんだよ」


「お前の顔に書いている」


「そればっか」


「それで十分だろ」


 橘は部屋に入り、いつもの端末を見る。


 そして、業継の視線がほんのわずかに別の画面へ向いたのを見逃さなかった。


「それだな」


「……見たい?」


「見せる気があるなら」


 業継は少しだけ考えた。


 父の言葉。


 段階的に。


 全部は出すな。


 だが――橘なら。


「設計だけなら」


「それでいい」


 業継は画面を切り替えた。


 表示される


(細胞構造に異常細胞のモデル。)


 そして――


(極小の構造体のナノマシンだと?)


 橘の思考が、一瞬止まる。


「……おい」


「なに」


「これは、何だ」


「ナノマシン」


「そういう意味じゃない」


 橘は一歩前に出る。


「なぜそれを今やっている」


 業継は肩をすくめた。


「できそうだから」


 その一言で、橘は確信する。


(やはり、同じか)


 鉱脈と同じ。


 理論ではなく、“できる感覚”で動いている。


「どこまでやった」


「設計だけ」


「実装は」


「やってない」


 即答。


 しかも迷いがない。


 橘は一度だけ大きく息を吐いた。


「……それならいい」


「止めないの?」


「止める理由はある」


 橘は正直に言う。


「だが、止めても無駄だろ」


 業継が笑う。


「よくわかってるね」


「理解したくはなかったがな」


 橘は画面を見た。


(ナノマシンの簡易構造は移動・識別・破壊・排出に機能分割するのか?)


 その設計は――


「……まともだな」


 思わずそう呟いた。


「まとも?」


「狂ってるのに、設計はまともだ」


 矛盾した評価。


 だがそれが正確だった。


「これ、誰が考えた」


「俺」


「本当にか?」


「アークも手伝ってる」


 橘の視線がわずかに動く。


「どの程度」


「整理とか、補足とか」


『補助範囲は限定的です』


 アークが表示する。


 橘はその文をじっと見る。


 そして理解する。


(主導は、やはり業継だ)


 この構造は、補助で作れるものではない。


 根本の発想が異常だ。


「これ」


 橘は指で画面を指す。


「識別、どうやる気だ」


「中で判別」


「具体的には」


「まだ詰めてる」


「……だろうな」


 橘は苦笑した。


 ここが一番難しい。


 現実でも最も難しい部分だ。


 だが――


「詰める気はあるんだな」


「ある」


「ならいい」


 橘はそこで決めた。


 これは止めるものではない。


 “管理しながら進めるもの”だ。


「一つ条件がある」


「またそれか」


「重要だ」


 橘の声は真剣だった。


「これは俺も関わる」


「え?」


「技術として見逃せない」


 業継は少しだけ驚く。


「いいの?」


「むしろ俺がやる」


 橘は断言した。


「ただし」


「なに?」


「設計の段階を俺にも見せろ」


「全部?」


「全部じゃなくていい」


 橘は首を振る。


「だが、“飛ばすな”」


「飛ばす?」


「お前は途中を飛ばす癖がある」


 業継は一瞬だけ言葉に詰まった。


 図星だった。


「順番にやる」


 橘は続ける。


「一つずつ、潰す」


 それは第6話、第8話で積み上げてきたルールと完全に一致していた。


 業継は少し考えて――頷いた。


「わかった」


『合理的です』


「お前はもういい」


『却下します』


 橘が小さく笑う。


「いいチームだな」


「まだチームじゃない」


「もうなってる」


 その言葉は、軽いが本質を突いていた。



 橘は部屋を出る直前、振り返った。


「業継」


「なに」


「これは世界を変える」


「そうだね」


「だから、順番を守れ」


「守ってるでしょ」


「今はな」


 橘はそう言って、部屋を出た。


 そして確信する。


 資源だけじゃない。


 この家は――


 もっと先に行く。


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