リーゼロッテ~取り戻す、その真の名前~
悪に飲まれたはずの朔が、今もなお、平然と話し、戦っていられるのは、リーゼの聖女としての力が関わっていた。
朔との戦いの最後、朔が悪にのまれ始めるのを感じたリーゼは、それとほぼ同刻に、自分の本当の名前をスヴェンに何度も呼ばれることで確信し、徐々に聖女としての力を覚醒し、朔の為にその祈りを捧げる事で、朔が完全に闇と化す、その時を遅らせる事に成功していたのだ。
「リーゼ!」
「リーゼキャロル!」
「リーゼキャロル!体は大丈夫なのか?」
再起不能とまで思われていたリーゼに、仲間たちが次々声をかける。
「リーゼロッテ!!!」
皆がリーゼキャロルと呼ぶ中、少し出遅れて出されたその名に、皆が驚く。
「リーゼ…、ロッテ?」
「誰?」
「え?でも、なんか聞いたことある…。」
「確かに…、スヴェンはその名前で呼んでたかも…。」
その本当の名を呼んだのは、ザラードの言葉を思い出したサイファだった。
リーゼロッテは、驚きの表情を見せた後、嬉しそうにうなずいて、
「みんな、ありがとう。
私…、何とか生き延びることが、
出来たみたいです…。
全ては…、
神の御力によるものと…。」
そう言って手を合わせるリーゼロッテ。
それから顔を上げ、再び話し始める。
「この戦いは、
私が出なければならない戦いです。
あの子…朔を、
あんな風にしてしまったのは、
私の責任ですから、
私が彼を…、最後まで導かないと、
いけないのです…。
莉奈の怨念が、
さらに大きく、深くなっている段階で、
朔の心がそれに触れたら…、
どうなってしまうか…、
予測できません…。
だから、私は私の責任を、
果たします。」
澄み切った、真っ直ぐな目で、皆にそう語りかけてから、にこっと笑い、弾むような口調で問いかける。
「皆さん!
そう言えば、私の名前の話、
サイファから聞きましたか?」
リーゼロッテの言葉に、サイファの話を思い出し、皆が、
「あっ。」
「そうだったよね!だからさっき…。」
「サイファが!。」
次々と声を上げる。それを見て、フフフと笑うと、皆に伝える。
「改めまして、
リーゼロッテです!
皆さん、お見知りおきくださいね!」




