表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/100

東京に雪が降る

 あの雪の駅舎の時間が、まだ僕の胸に残っている。


「寒いね」


 待合室のストーブに手を当てる彼女。東京へ引越す彼女を見送るしかない僕は無力な中学生だった。


「会いに行くよ」


 一人で街を出た事もないくせに、そう言った僕の唇に彼女の唇が触れた。


「待ってる」


 離れた熱が嘘にならないように彼女は言った。僕もそれを疑わなかった。

 けれど無力な時間は残酷に嘘を生む。


 十年。


 東京に雪が降る度に、僕の胸には溶けない雪が深く積もる。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ