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東京に雪が降る
あの雪の駅舎の時間が、まだ僕の胸に残っている。
「寒いね」
待合室のストーブに手を当てる彼女。東京へ引越す彼女を見送るしかない僕は無力な中学生だった。
「会いに行くよ」
一人で街を出た事もないくせに、そう言った僕の唇に彼女の唇が触れた。
「待ってる」
離れた熱が嘘にならないように彼女は言った。僕もそれを疑わなかった。
けれど無力な時間は残酷に嘘を生む。
十年。
東京に雪が降る度に、僕の胸には溶けない雪が深く積もる。
あの雪の駅舎の時間が、まだ僕の胸に残っている。
「寒いね」
待合室のストーブに手を当てる彼女。東京へ引越す彼女を見送るしかない僕は無力な中学生だった。
「会いに行くよ」
一人で街を出た事もないくせに、そう言った僕の唇に彼女の唇が触れた。
「待ってる」
離れた熱が嘘にならないように彼女は言った。僕もそれを疑わなかった。
けれど無力な時間は残酷に嘘を生む。
十年。
東京に雪が降る度に、僕の胸には溶けない雪が深く積もる。
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